2012/09/18

「新潮45」10月号 フェイスブック原稿

本日発売の「新潮45」10月号に、個人情報泥棒「フェイスブック」に騙されるな、という原稿を書きました。特集「頭を冷やせ」の部分に掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/shincho45/backnumber/20120918/


日本は個人情報保護に関して法整備の遅れた「後進国」であるためか、ヨーロッパやアメリカのように「フェイスブック離れ」が進行していません。むしろ利用者はうなぎ登りに増えています。この現状をどう考えるべきなのか。

すでにフェイスブックは、アメリカでは個人情報の取り扱い問題で、20年間、連邦取引委員会の監視下に置かれています。ドイツでは情報保護局にEU法の違反でアーカイブの破棄を求められています。
日本ではヨーロッパほど問題になっていませんが、フェイスブックはプロフィールや位置情報、クレジットカード番号だけではなく、ユーザーがアップロードした写真から「顔指紋」まで収集しはじめています。個別に許諾を取ることなく生態情報を利用するやり方は、明らかに「一線を越えた」もので、複数の国々で問題になっているのです。
どんなに利用者がプライバシー保持に気を付けていても、友達同士で写った写真に実名がタグ付けされると、「顔指紋」を特定されていく確率が高まっていきます。現状の技術でも、子供の写真から実名と紐付けた「顔指紋」を特定することは、高い確率で可能だと思います。もちろんそのデータが外部に流出して別の用途に使われなければいいのですが・・このあたりの詳細は本文で。

日本では憲法にプライバシー権が明記されていないため、個人情報の利用に関する議論の土壌が弱いのでしょうか。
国民総背番号制の議論にも繋がりますが、そもそも解析されていい個人情報と、解析されるべきではない個人情報の線引きは、一企業が自由に決めていいものではなく、国や地域の社会規範に従って法的に定められるべき性質のものだと思うのです。
プライバシーを保護と、データ解析の利用促進の両立は、規制の仕方の工夫で可能なはずで、日本の個人情報保護の現状は、国際的なトレンドから完全に取り残されている感じがします。