2018/06/26

IAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)のパネル発表

オレゴン大学で開催されたIAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)で、「From Hiroshima to Fukushima: Redesigning Communication Processes for Nuclear Crisis」というパネル・セッションを行ってきました。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の金山智子先生がチェアーのセッションです。

IAMCRは米国寄りというよりは、EU寄りで、UNESCOと関係の深いカンファレンスで、メディアとコミュニケーションに関する世界でも最大規模の国際学会です。

IAMCRの概要
https://en.unesco.org/partnerships/non-governmental-organizations/international-association-media-and-communication

私が担当した発表のタイトルは、'Comparative Research on Archive and Exhibition Design and Production with Respect to Nuclear Disasters as Media for Communicating Historical Facts'でした。広島と長崎の核被害に関する「慰霊」の文脈の違いや、展示内容の方法論の違いについて分析した内容です。

パネル発表の概要は、原子力災害と一口に言える問題の中にコミュニティや教育、展示や集合的記憶など多様な問題があることを伝える内容でした。
名古屋大学の小川先生、広島経済大学の土屋先生、同志社大学の志柿先生と、発表や前後の議論をご一緒いたしました。

様々な国や地域の研究者の方々からご関心を頂き、発表に前後してパネルの先生方とじっくりと議論した内容も含めまして、非常に有意義な機会でした。発表後の懇親会等の場でドイツやカナダ、ベルギー、台湾の研究者と、詳しい議論が交わせて良かったです。

U・ベックが記した意味での「再帰的近代化論」を踏まえると、核災害そのものの定義や問題系を、コミュニティや教育、展示・アーカイブス、集合的記憶、情報公開のあり方の問題として展開し、多様な「メディア研究」の下で再構築していくことは、学際研究らしい重要なアプローチだと考えています。

今回の発表内容については、今後の研究活動の中で、時間をかけて展開していきたいと考えています。