2018/03/28

ゼミ冊子「メディア表現」第二号を刊行しました

文教大学酒井信ゼミ制作の冊子「メディア表現」第二号を刊行しました。130ページの分量で、昨年よりも20ページ以上増えています。メディア表現学科の教育内容を紹介する記事や、2017年の世相を踏まえた学生達のコラム、アンケート調査、教員やOG・OBへのインタビューなど、様々な記事が掲載されています。ゲスト講義の紹介欄では、作家の佐川光晴氏をはじめ、様々なメディア関係者にお話し頂いた内容も掲載されています。

「100ページを超える分量で、『足で書く』取材記事と、アンケート分析を主とした冊子を作ってほしい」という私からのオーダーに、メディア表現学科2期のゼミ生も、頑張って応えてくれたと思います。制作に関わった学生には「厚み」のある冊子を「名刺代わり」に、就職活動を頑張ってほしいところです。

アンケート調査とその分析内容も面白く、情報学部らしいWebメディアを中心としたメディアの接触頻度の調査や、家族とのコミュニケーションの状況、恋人の有無などに関する社会学的な調査、原発の維持や憲法改正に対する政治意識に関する調査など、定点観測で経年変化を調べるのに興味深いトピックが並んでいます。

「メディア表現」はオープンキャンパスや学園祭など、大学の行事で、メディア表現学科の教育活動の紹介を趣旨として配布します。今後も年一回の刊行予定です。
将来的にはウェブ・コンテンツとしての展開も見込んでいます。
大学での教育意図や冊子制作の方法論についての詳細については、2018年度の日本出版学会の春季大会でお話しします。










2018/03/20

メディア表現学科一期生の卒業式

メディア表現学科一期生の卒業式でした。2014年に広報学科から改組し、その準備段階から入試委員・教務委員を計6年担当してきたので、学科の教育内容に思い入れを抱いています。3年次の100ページを超えるゼミ冊子の制作や、4年次の40ページ前後の卒業研究など、課題が多いゼミだったと思いますが、よく頑張ってくれました。卒業生の顔ぶれをみると、多様で、将来が楽しみな学生が育ってくれたと実感しています。全員の就職先も決まり、劇団四季のような「メディア表現」ど真ん中の企業から、@COSMEのように自社でメディアを持っているIT企業、富士通テクノソリューションズのように、キャンパスのある神奈川を代表する企業まで、幅広い就職・進学の実績が出て良かったです。毎年、横浜でOG・OB会を行っていますので、皆さんの生長した姿を見るのを楽しみにしています。


2018/03/09

Asian Journal of Journalism and Media Studies(日本マス・コミュニケーション学会の英文ジャーナル)の論文募集

Asian Journal of Journalism and Media Studies(日本マス・コミュニケーション学会英字ジャーナル)の2号の編集長を担当することになりました。現在、論文を募集しています。
特集のテーマは“Public Opinion and Media Discourse in the Era of Fake News and Filter Bubbles.”です。

テーマの詳細や論文作成のガイドラインについては、上のPDFをご参照下さい。もし関心のありそうな方をご存じでしたら、ぜひCall For Papersをご紹介を頂けると幸いです。
日本に限らず、英語圏のMedia Studiesに関連する学会でも告知を行い、韓国・中国・台湾のMedia Studies系の学会でも、韓国語版・中国語版(簡体字及び繁体字)を作成し、告知する予定です。よろしくお願いいたします。

CALL FOR PAPERS
Asian Journal of Journalism and Media Studies (ISSN2189-8286) No.2
I'm pleased to announce a call for papers for a special issue of AJJMS, No.2, on “Public Opinion and Media Discourse in the Era of Fake News and Filter Bubbles.”
I'm looking forward to your contribution!

Possible topics may include but are not limited to: Journalism Research, Social Informatics, Communication Research, Cultural Studies, Political Communication Research, Media Education Research, Media History, Media Studies.
I wrote about the theme of this special issue as a editor-in-chief. Please see the details below.

特集テーマについて(Call For Papersより抜粋)
 ウェブ上のメディア環境の進歩は、個々人の情報接触の利便性を高める一方で、未知の情報や意見の異なる他者との偶発的な出会いの機会を低下させるリスクを有しています。Eli Pariser は、現代の情報環境の特徴を「Filter Bubble」と名付け、人々が自己の興味関心に応じて、見たい情報だけを見るためのフィルターに囲まれるようになっていることを問題視しています。「Filter Bubble」に囲まれたコミュニケーション空間においてメディアは、公共性が高く、複雑な問題についての理解を必要とする輿論(Public Opinion)を形成するよりも、アクセス数や広告収入を確保するために、人々の快不快の感覚に働きかける世論(Popular Sentiments)を形成する傾向を強めています。
 Fake News の起源は古く、昔から人々は流言飛語に踊らされるだけでなく、それに踊らされることを楽しんでもきました。現代の情報環境においてもそれは変わりません。近年では Fake News だけではなく、ウェブ上で現実には存在しない人物を媒介とした Fake Accounts が、国境を超えて政治的な工作や、経済的なマーケティングのツールに使われています。また Fake GPS が現実の世界で生きる人々の位置情報を偽装する目的で普及してもいます。
私たちが日々接触する情報が、各々の興味関心の履歴を基にパーソナライズされたり、偽装されたものになるにつれて、不特定多数を対象とした情報を配信するマス・メディアは、面白さと利便性の点でウェブ・メディアに敗れ、マネタイズの問題に直面するようになりました。結果としてメディアの言説は、公共性を育み、善悪や真偽の基準となる輿論(Public Opinion)を形成する機能を弱めていると言えます。
ウェブ上の情報環境を良いものにし、人々が「情報の自治」の担い手として公共圏と親密圏の双方に根を張った「新たなメディア環境」を構築して行くために、輿論(Public Opinion)や、輿論を醸成するメディアの言説はどのようなものであるべきなのでしょうか? また、私たち Media Studies に関わる研究者は、Filter Bubble や Fake Information に囲まれた現実とどのように向き合い、どのような問題意識を持ち、何を研究対象にして行けばいいのでしょうか?
 AJJMS 第二号では、このような問題意識から、新たな情報環境に根ざした「輿論」と「メディア言説」のあり方について、アジア地域の事例を視野に入れながら研究した論文を募集します。
編集長 酒井信