2022/11/07

「文學界」(2022年12月号)に「私たちの見えない「顔」──映画『ある男』論」を寄稿しました

 文藝春秋の文芸誌「文學界」(2022年12月号)に、「私たちの見えない「顔」──映画『ある男』論」を寄稿しました。原作が平野啓一郎さん、監督が石川慶さん、脚本が向井康介さん、主演が妻夫木聡さんと同世代の方々が関わられた作品ということもあり、感情移入して見入ってしまう場面が多く、じっくりと時間を掛けて書きました。安藤サクラさん、窪田正孝さん、真木よう子さん、清野菜名さんの演技も魅力的で、この点についても後半で触れています。表題は、ルネ・マグリットの絵画と、エマニュエル・レヴィナスの「顔」の概念を参照しながら論じた箇所から、ご担当を頂いた編集者が付けたもので、上手い表題だと思いました。作品が捉えている問題の射程が広く、批評を書く上で難易度が高い作品でしたが、新しい人権をめぐる海外の法制度など社会科学的な補助線を引きつつ、いい手ごたえで論じることができました(編集者からも好評でした)。映画のお供に、ご一読頂ければ幸いです。日本の現代小説を原作とした映画が、広く世界で観られることを願っています。

映画『ある男』公式サイト

https://movies.shochiku.co.jp/a-man/

「文學界」(2022年12月号)目次

https://www.bunshun.co.jp/business/bungakukai/backnumber.html?itemid=777&dispmid=587