2019/09/15

新刊『メディア・リテラシーを高めるための文章演習』好評発売中!

新刊『メディア・リテラシーを高めるための文章演習』好評発売中です!
様々な大学の授業で教材としてご採用を頂きまして、発注も好調で、多くの書店で販売を頂いております!
ニュース・パーク(日本新聞博物館、横浜市)でも販売図書としてご採用を頂きました!

株式会社宣伝会議が発行する月刊「広報会議」の2019年8月号でもご紹介を頂きました!
https://makotsky.blogspot.com/2019/07/blog-post.html
西日本新聞朝刊(2019年7月20日)の「くらし」面でもご紹介を頂きました!
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/528612/

ぜひご一読のほどよろしくお願いいたします。

左右社のHPはこちらです。
http://sayusha.com/catalog/p9784865282207

楽天ブックス
https://books.rakuten.co.jp/rb/15836863/
Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4865282203

ジュンク堂 店舗在庫
https://honto.jp/netstore/pd-store_0629558489_14HB320.html
丸善 店舗在庫
https://honto.jp/netstore/pd-store_0629558489_14HB310.html
紀伊國屋書店 店頭在庫
https://www.kinokuniya.co.jp/disp/CKnSfStockSearchStoreSelect.jsp?CAT=01&GOODS_STK_NO=9784865282207



左右社HPより引用
なぜあの企業アカウントは炎上したのか?
ディズニー、ベネッセ、くら寿司など大企業さえ、たったひとつの「炎上」で企業価値を大きく損なう事態を招いてきました。
誰もが情報を発信し、享受し、監視する「超情報化社会」のいま、学生や企業が情報発信をするための技術と心構えを、過去の炎上事例を紹介しながらわかりやすく指南。
大学メディアリテラシー科目の担当教員が、SNS時代の教養を67の演習問題とともに一冊にまとめた決定版。

【学生】【企業のSNS担当者】【ビジネス・パーソン】におすすめです!!
3つの大学で実際に行われたSNSやメディアについての意識調査結果も掲載!!

◆個人・企業のネット炎上対策
◆情報とメディアのマッチング
◆志望理由書の作成
◆自己PR文の書き方
◆論文・レポートの作成
◆データの収集と参照

❖目次
はじめに
第1回  個人のネット炎上パターンとその予防策・善後策
第2回  企業のネット炎上パターンと情報メディア・リテラシー
第3回  メディアの基本理論を踏まえた文章表現とメディア・リテラシー
第4回  コミュニケーション能力を高めるための文章表現1 三島由紀夫著『三島由紀夫レター教室』
第5回  コミュニケーション能力を高めるための文章表現2 三島由紀夫著『三島由紀夫レター教室』
第6回  メールの文章表現と基本的な敬語の使い方
第7回  葉書を用いた礼状・近況報告の書き方と明瞭な文章の書き方
第8回  起承転結の文章の構成と原稿用紙の使い方
第9回  志望理由書・自己PR文の書き方と論文・レポートの形式
第10回  日本語の特徴を生かした文章表現1 井上ひさし著『私家版 日本語文法』
第11回  日本語の特徴を生かした文章表現2 井上ひさし著『私家版 日本語文法』
第12回  データの収集・参照の仕方と論拠を明示した論文の書き方
第13回  社会調査(量的調査、質的調査の基本)と論拠・データをもとにした論文の書き方
第14回  ジャーナリズムと報道現場のメディア・リテラシー
第15回  批評的な思考≒メディア・リテラシーと批評文の書き方
参考文献
あとがき 

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第76回 湊かなえ『贖罪』

西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第76回 2019年9月15日)は、人気作家・湊かなえの『贖罪』を取り上げています。表題は「企業城下町の『格差』『軋轢』」です。

来週から秋学期ですが、夏休み中は長崎で一日、家族で海水浴にいった以外は、毎日働いていました。ソウルでの国際学会の会計の仕事も無事に終え、モンゴルでも学生たちと良い時間を過ごすことができ、劇場で観ようと思っていた映画の解説の仕事も入り、全体に充実した夏休みでした。

『贖罪』は、架空の精密機器メーカー・足立製作所の新工場が建てられた「日本一空気のきれいな場所」を舞台にした作品です。ドラマ版の撮影が長野県上田市で行われていることから、小説の舞台は長野県の日本アルプス近くの町だと推測できます。長野県の諏訪湖周辺には、セイコーエプソンや京セラなど日本を代表する精密機器メーカーの工場と、その下請け工場が多く立ち並んでいます。

新工場に赴任してきたエリートの家族と、昔からの「山あいの小さな町」で暮らしてきた家族の間に生じる「格差」や「軋轢」を背景として、10歳の女児殺害事件で友人を失った4人の同級生のその後の人生を描いています。登場人物たちが不必要に殺害される点については、文学作品としては気になりますが、「そのうち、合併なんかしちゃって、町もなくなるんじゃないかな」「空気のきれいな町、なのに」「空気がきれい、は残るでしょ」など、「平成の大合併」以後の現代日本に対する皮肉を込めた批評に、ユーモアと味わいを感じる作品です。


2019/09/12

第25回日韓国際シンポジウム(日本マス・コミュニケーション学会と韓国言論学会共催、漢陽大学)での発表

韓国・ソウルの漢陽大学で開催された第25回日韓国際シンポジウム(日本マス・コミュニケーション学会と韓国言論学会共催)で発表を行いました。新会長の吉見俊哉先生の韓国語のスピーチからはじまり、様々な世代の研究者の充実した発表があり、懇親会も市庁駅の高級店と、韓国風おでんの老舗店舗のバランスが素晴らしく、楽しく有意義な時間を過ごさせて頂きました。吉見先生と法政大学の津田先生と、韓国言論学会へのお土産の「うさき(東大で戦前の沖縄の黒麹菌を使って作った泡盛)」を、羽田空港で怪しげな感じで分担しつつ飛行機に搭乗したのも、よい思い出でした。


シンポジウムのテーマは「より良い未来のためのメディアの公共性 〜環境報道、多文化化、メディア・ジャーナリズム倫理〜」でした。最初の「共同研究セッション」で、韓国の元新聞記者の呉杕泳先生(嘉泉大学)と尹熙閣先生(釜山大学)と共同で「新聞が抱える諸問題:収益創出とジャーナリズムの役割の共存の道を求めて」という発表を行いました。今年のマスコミ学会の春季研究発表会(立命館アジア太平洋大学)のパネルセッションの続編で、事前に密に予稿集に関するやり取りをしていたこともあり、充実した発表となりました。


日本マス・コミュニケーション学会での紹介
http://www.jmscom.org/event/sympo/JKsympo_25_program.pdf

個人的にも韓国の先生方との共同研究が進展し、先々の研究計画について、両国の先生方と打ち合わせができたことを大変嬉しく感じております。発表直後に韓国の先生方や、吉見先生をはじめとした日本の先生方に発表を褒めて頂けたのも、今後の励みになりました。

日韓関係について様々な報道がなされていますが、大学で働く教員の務めは、長い時間の下で、近隣の国々をはじめ、国際的な教員のネットワークの中で、共同研究を軸とした持続的で豊かな関係を築き、次の世代の研究者に、その成果をバトンタッチすることだと思っています。




ニュースパークとの連携企画「ニュースパーク速報!」の展示がはじまりました

ニュース・パーク(日本新聞博物館)で「新聞の見出しとネットニュースのみだしのちがい」に関する展示「ニュースパーク速報!」が8月31日からはじまりました! 文教大学・酒井信研究室とニュース・パークの連携企画です。掲示物の周りに、来館者に作成してもらった「見出し」の吹き出しが徐々に増えていく内容です。

体験学習の一環として、常設展示「情報社会と新聞」の中で、連携企画の展示を1年ほどの予定で担当します。今月から本格的に学校の団体訪問が増えるそうで、感想を聞きながら「体験学習」の紹介の仕方を調整していく予定です。

掲示物や「速報記者手帳」のヒントを参考にして「見出し」を考えてもらう楽しい展示物ですので、ぜひお近くにお立ち寄りの際は、ぜひニュースパークにお立ち寄り下さい!

ニュースパークのHP
https://newspark.jp/

ニュースパークでの紹介
https://twitter.com/NewsparkPR/status/1169212628817694720









2019/09/10

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第75回 湊かなえ『望郷』

西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第75回 2019年9月8日)は、人気作家・湊かなえの『望郷』を取り上げています。表題は「記憶が詰まった『離島小説』」です。
来月公開の映画の解説の仕事(劇場パンフレット掲載)が急遽入り、小説の評論とは違うアプローチで、日本を代表する役者たちの演技に注目しながら、原稿を仕上げたいと試行錯誤する日々です。

『望郷』は瀬戸内海の因島で育った湊かなえの経験が色濃く反映された自伝的な作品です。直木賞の候補となるも受賞には至りませんでしたが、収録されている短編「海の星」は、日本推理協会賞(短編部門)を受賞しています。「望郷」はデビュー作『告白』がベストセラーとなり、一躍、流行作家となった著者のルーツに迫る短編集と言えます。

湊かなえは1973年生まれで、広島県にある因島市(現・尾道市)の柑橘農家に生まれ、小学校から高校まで島内で教育を受けています。『望郷』は自己の経験を踏まえ、島の大半の雇用を生み出してきた造船業の衰退と、1983年の因島大橋の開通で本土と繋がった影響で変化した生活が、島の内外の子供と大人の内面を通して重層的に描かれている作品です。

造船所の進水式のお祭りのような賑わいや、死体が網に掛かっても警察に届けない漁師の慣習、島の名家に住む老人の封建的な言動など、因島で生まれ育った著者にしか書けない描写が、作品の要所に織り込まれていて小説の固有性を高めています。観光地として人気を集める「しまなみ海道」の「通過点」となった場所(因島)が経験してきた現代史を、その風土と共に伝える作品だと思います。


2019/09/04

西日本新聞掲載「没後20年 江藤淳の価値」

西日本新聞朝刊(2019年9月3日)に「没後20年 江藤淳の価値」という原稿を掲載頂きました。7月に開催した「江藤淳没後20年 昭和と平成の批評 —江藤淳は甦える—」の発表を踏まえた内容で、江藤淳の批評の現代的な価値について考察したものです。

紙面の見出しにも採用して頂きましたが、江藤淳は論理にし難い感情を批評として綴った批評家だったと思います。「アメリカと私」「文学と私」「戦後と私」などの著作で展開された、江藤の私的な感情の籠もった批評は、文学的な完成度が高く、今日読み返しても心に響きます。

文芸批評の代表作「成熟と喪失」は、戦後日本に浸透した人工的な生活空間=アメリカ化した日本の中で「喪失感」を引き受けながら生きることに、新しい時代の「成熟」の意味を見出した作品でした。上野千鶴子や加藤典洋の著作に代表されるように、この批評文を踏まえた議論は、戦後日本論として大きな成果をもたらしました。

その一方で江藤は、プリンストン大学で教鞭を執った経歴から「『外の世界』を経験してきた日本人に伝統的に課せられている義務」(『アメリカと私』)を抱き、論壇での批評に取り組んだ「国際的な知識人」でした。大江健三郎や吉本隆明との関係性の中で生まれた言葉は、そのまま戦後の思想史に明記されるべき興味深い文脈を有しています。

生活環境のアメリカ化がよりいっそう進み、文学が社会的な影響力を失いつつある現代日本で、江藤が文壇と論壇の双方で展開してきた批評文が、没後20年の節目で、正当に評価され、多くの人々に再読されることを願って止みません。


2019/09/02

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第74回 富岡多恵子『波うつ土地』

西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第74回 2019年9月1日)は、富岡多恵子の『波うつ土地』を取り上げています。表題は「新興住宅地の『性と信仰』」です。女性の作家が記した戦後小説の中でも屈指の名作だと思います。

この小説は多摩ニュータウンの一角を占める町田市を舞台とした作品だと考えられます。作中の描写の通り、町田市には、本町田遺跡公園など縄文時代の遺跡が多く残っています。谷と丘が凹凸をなし、波うつように斜面に家が建ち並んでいる土地の描写が、読後の印象に残ります。「土地は、海の方からおしよせてきて波うっているのか、それとも、陸の奥の、芯の方からおしよせてきたのか、この丘陵と谷戸の土地は、近年、都会からおしよせてきたヒトをのせて、波は大きくうねっているのだ。」

多摩ニュータウンの知名度の高さから、多摩丘陵は新興住宅地というイメージが強いですが、そこは小川が多く、湧き水も豊富であるため、縄文時代より前から多くの人々が暮らしてきた、関東でも有数の場所です。この作品のスケールの大きさは、「わたし」の不倫やアヤコの「信仰」のあり方を、太古の昔から繰り返されてきた、普遍性を有する人間の営みとして描いている点にあります。現代的な価値観の下で、性的な営みや信仰の形態は、限られたものに制約されていますが、本来、それは多様なものであることを、富岡多恵子は小説の全体を通して表現しています。

現在、ウランバートルでモンゴル国立科学技術大学との研修と、将来の相互協力に関する仕事に取り組んでいます。ご飯が美味しいので仕事も捗りますね。


2019/08/31

モンゴル科学技術大学との研修と大草原のゲル滞在

文教大学の学生24名を引率して「モンゴル異文化理解・共生体験研修」を、ウランバートルとその郊外で実施しています。モンゴル科学技術大学の外国語学部の学生14名と教員2名の手厚いサポートが有り難く、充実した研修を両国のメンバーで一緒に楽しんでいます。

モンゴル科学技術大学の入学式に、なぜかモンゴルの政治家と来賓席で(SPに囲まれ、草原に行く前のジャージ姿を怪しまれながら)参加することになったり、草原のゲルに滞在しながら羊を追ったり、馬に乗って草原の広さを感じたり、互いの文化を紹介し合う文化祭を開催したり、貴重な経験をさせて頂いています。

前回の引率から5年ほど経っていますが、ウランバートルの発展は目覚ましく、次々と高層ビルが建ち、スーパーの品揃えも明らかに充実しています。

言葉を通したコミュニケーションを超えて、寝食を共にしながら、学生たちが互いに打ち解けていく様子を見ることができるのが、非常に嬉しく、大学教員冥利に尽きる研修だと実感しています。








2019/08/26

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第73回 宮本輝『五千回の生死』

西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第73回 2019年8月25日)は、宮本輝の代表作の一つ『五千回の生死』を取り上げています。表題は「阪神間の海沿いの輝く生」です。ソウルでの国際シンポジウムの発表を無事に終えて、校務に復帰しつつ、明日からのモンゴル異文化研修(@ウランバートル)への長期出張の準備をしているところです。

宮本輝は、梅田の繁華街にある市立曾根崎小学校に通っていましたが、父親が事業に失敗し、兵庫県尼崎市に引っ越しています。この作品は、宮本輝の作家としての原風景と呼ぶべき、尼崎に住む人々を描いた短編集です。

例えば短編「五千回の生死」は、デザイン事務所の経営に行き詰まった「俺」と、国道26号線を歩いて自宅に帰る時に出会った「一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりするんや」と言う男との奇妙な共生関係を描いた小説です。「お前かて、死にたなったり、生きたなったりするやろ? そんなこと思うの、人間だけやろ? 俺が正常な人間やという証拠やないか」と問いが、読後の印象として強く残る作品です。

この短編集には、人生の底を舐めるような悲しみと、それを陽気に突き抜けるような明るさの双方が凝縮されています。全体に平易な言葉遣いながら、宮本輝が幼少期から親しんだ、尼崎の土地に根ざした価値観が、ちょっとした心情表現の中にも生き、脈打っています。「五千回の生死」は、阪神間の海沿いの街に根を張って生きてきた人々の生活を、様々な角度から光を当てて輝かせた、現代を代表する「プロレタリア文学」だと思います。



2019/08/19

Asian Journal of Journalism and Media Studies No.2 の公開

編集長を担当した「Asian Journal of Journalism and Media Studies」(日本マス・コミュニケーション学会・英文ジャーナル ISSN2189-8286) の第2号を、下の学会サイトで公開しました。準備号からの慣習で、著者の写真入りで各論文とテーマの趣旨説明の文章を掲載頂いています。

Asian Journal of Journalism and Media Studies2号
http://www.jmscom.org/en/ajjm_2019/index.html
日本マス・コミュニケーション学会HPの「Asian Journal (English)」の欄からもアクセスできます。

公開済のJ-STAGE版は下記です。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ajjms/list/-char/ja



著者や査読者とのやり取りや、英文の投稿規定・Call For Papersの整備、DOIの取得やJ-STAGEへの登録など、もろもろの作業が長引きまして、編集から公開までに時間を要しましたが、ようやく仕事を終えることができました。

これでようやく夏休みか、と思いきや、連載の原稿のストックが減っているので、学期中以上に、モーレツな勢いで本を読み、原稿を書く日々です。

ニュース・パーク(日本新聞博物館)でのゼミの制作物の展示も、新聞協会の方との最終の修正作業が終わり、8月31日(土)から展示予定です。こちらの詳細は後日。

今月は長崎に帰り、ソウルに行き、校務の後、来月の頭までウランバートルです。
良い夏休みをお過ごし下さい!