2018/04/01

新連載・西日本新聞「現代ブンガク風土記」

2018年4月1日より、西日本新聞で「現代ブンガク風土記」という連載を、毎週日曜に担当します。日本の「地方」を舞台にした「地に足の着いた」現代文学を毎週一冊取り上げ、作品の魅力について、読み所となるポイントを明示し、批評する内容です。

初回はカズオ・イシグロの長崎を舞台にしたデビュー作「遠い山なみの光」です。 第一回の記事タイトルは、「市井の戦争責任」問う、です。イシグロの生家近くの長崎らしい石畳の路地で撮影した桜並木の写真が掲載されています。写真にもこだわった連載です。

表題を「ブンガク」と片仮名にしたのは、この連載で取り上げる作品が、必ずしも文芸誌に載る「純文学」の作品に限らないからです。直木賞や山本周五郎賞を受賞している作家の優れた作品も多く取り上げます。長崎の磨屋小学校の先輩の山本健吉や奥野健男の『現代文学風土記』のコンセプトを一部継承しつつ、内容の上で区別するニュアンスもあります。

風景や生活空間の均質化と、過疎化が進行する現代日本ですが、「地方」の現実感やその価値観を捉え直す、魅力的な小説が多く執筆されています。この連載では、「地方」を舞台にした、現代を代表する小説の表現を手がかりにして、土地と人間との現代的な関係について考えていくことを目的としています。

ぜひお時間のある時にでもご一読下さい。ウェブ版も近々、公開されると思います。

西日本新聞社の社告での紹介
http://c.nishinippon.co.jp/announce/2018/03/039781_post-99.php