2022/05/19

「アステイオン96」に寄稿しました

 「アステイオン96」(編集:サントリー文化財団・アステイオン編集委員会、発行:CCCメディアハウス)に、「「喪の作業」としての平成文明論」という原稿を寄稿しました。與那覇潤さんの『平成史』に関する10枚ほどの論考です。喪の作業(the work of mourning)は、『平成史』の中で言及されているフロイトの概念(人間が喪失を乗り越えるための心的プロセス)で、1月に入稿した私の原稿では本文の内容を踏まえつつ、デリダのフロイト解釈(と脱構築批評)を念頭に置いて書きました。原稿のご依頼を頂いた編集委員の先生方に心より感謝申し上げます。

 特集の「経済学の常識、世間の常識」など、興味深い原稿が数多く収録されています。長期的な視点を有する様々なテーマの論考を掲載した、素晴らしい雑誌だと思います。

 ちょうど平成期の文学作品を多く取り上げた『現代文学風土記』(西日本新聞社)を出版するタイミングだったので、よい機会でした。私も平成20年に『平成人(フラット・アダルト)』(文春新書)という本を書き(1万部は売れ、いくつかの大学入試でも使って頂きましたが)、平成という時代と価値観の変化に思い入れがあったので、與那覇さんの『平成史』とアステイオン誌上で向き合うことができ、嬉しく感じました。『平成史』(文藝春秋)は、細かな論点も含めて、平成期の様々な出来事や価値観の変化について深く考えさせられる良書です。

目次(2022年5月11日)

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784484222103

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「WEBアステイオン」(Newsweek Japanのサイト内)に、「氷河期世代が振り返る平成――「喪の作業」としての平成文明論」とタイトルを変更の上、公開頂きました。紙媒体とWEB版を上手く運用していて、「アステイオン」は素晴らしい雑誌だと思います。

WEBアステイオン 氷河期世代が振り返る平成──「喪の作業」としての平成文明論

https://www.newsweekjapan.jp/asteion/2022/08/post-71.php