「中央公論」(2024年12月号)の「書苑周遊 新刊この一冊」に、先崎彰容さんの新刊『批評回帰宣言——安吾と漱石、そして江藤淳』の書評を寄稿しました。先崎さんの論壇と分断を架橋する批評への思いが、びしびしと伝わってくる良書でした。以前にこの本に収録されている文芸誌掲載の批評文について、先崎さんに感想を求められたことがあり、書評で応えることができて良かったです。
https://chuokoron.jp/chuokoron/latestissue/
「西日本新聞」(2024年11月9日)の書評欄に、吉田修一さんの新刊『罪名、一万年愛す』の書評を寄稿しました。表題は「松本清張『砂の器』への挑戦状」です。『松本清張はよみがえる』で『砂の器』について、吉田修一さんの『怒り』と比較しながら論じていました。
「駅の子」の描写など、ヒューマニズムに根差した普遍的な問題意識があり、神話的な響きが感じられた点が、とても良かったです。吉田さんの作品の書評は、2018年の『ウォーターゲーム』『国宝』から7作について書けているので、長崎南高校の後輩として嬉しい限りです。この小説は『砂の器』を下地とした作品で、吉田修一さんご本人と、その「後輩」の探偵も登場します。
KADOKAWA文芸「カドブン」note出張所