ゲンロンカフェで原武史先生と與那覇潤先生と「松本清張を発掘せよ」というトークイベントを行います(2024年6月2日・日曜日15:00~)。ゲンロンの説明文の通り、原先生は松本清張研究の第一人者で、『「松本清張」で読む昭和史』や『松本清張の「遺言」』などの素晴らしい著作があります。與那覇さんは、最新作の『危機のいま古典をよむ』で清張の「実感的人生論」について論じており、『平成史』だけではなく、昭和史にも造詣が深く、お二方との議論は表題に相応しいディープなものになると思います。
今回のイベントでは『点と線』『ゼロの焦点』『日本の黒い霧』『砂の器』『昭和史発掘 2・26事件』『神々の乱心』を中心に取り上げます。清張の昭和史系の大作と長編の代表作を網羅した重量級のラインアップで、入念な準備をしつつ、楽しみにしています。日曜のお昼の開催で参加しやすいかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。昨年の司馬遼太郎のイベントも好評でした。
https://genron-cafe.jp/event/20240602/
2024年6月1日・土曜日は14時から、松本清張記念館の第47回松本清張研究会(東京学芸大学)で講演を行います。表題は「清張作品の「謎」と「秘密」に迫る ― 『松本清張はよみがえる』を手引きに」です。ゲンロンとは異なるメディア史研究寄りの視点から、『松本清張はよみがえる』で参照した講演録、全集所収の自作論・月報・エッセイ、『半生の記』(「文藝」初出の「回想的自叙伝」を含む)などの資料をもとにした話をしながら、過去の「松本清張研究」の成果(創刊号~第二十四号、記念館図録など)に敬意を示しつつ、批評の方法論、作家としての生き方、生の題材を扱う「ジャーナリスト」としての松本清張の価値などについてお話する予定です。
https://x.gd/g9GZ1
西日本新聞の新連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」は、6月9日スタートの予定です。作品の舞台となった場所に着目した批評文の連載です。掲載頻度は前の連載よりも緩やかで月に1~2回の予定です。『松本清張はよみがえる』(西日本新聞社、2024年)も好評販売中です。
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ChatGPT 4oについて、Excelでニュースのメタデータを読み込ませて、自然言語解析を指示すると、英語はPythonの正規表現で、日本語はJanomeで解析して、人手の編集次第で使えそうなデータが出力されるので、面白いです。表記のゆらぎや固有名詞(proper noun)の判別は、「はて?」という感じで、限界がありますが、学習データが増えれば、将来的に改善しそうです。地名を用いたマッピングについては、私の研究用途ではいまいちですが、Python-GeoPandasを使って頑張っている感じはします。TF-IDFの解析は断られましたが、30秒ぐらいでPythonの処理コードを書き出してくれました。メタデータの作成と入力文章の工夫次第で、将来的に個人研究の幅が広がりそうです。
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最近は、学生と一緒に読むのにちょうどいい難易度の認知バイアスに関連する英語・日本語の文献を調べています。メディア・ジャーナリズム研究(元々は社会心理学との関係が深い)と行動経済学・ガバナンス論の間ぐらいで、学部で学んだ心理学の知見を、現代的なメディア論にアップグレードして、授業に取り入れたいと考えています。7月のIAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)の発表準備にもそろそろ取り掛からなければ。。
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2週間ほどかけて『昭和史発掘』1巻~9巻を読み返しました。2.26事件以外でも軍隊内の部落差別を告発した「北原二等卒の直訴」や、甘露台こと大西愛治郎の「天理研究会事件」(ほんみち不敬事件)など、「昭和維新」の裾野の広さを感じさせる題材が面白かったです。詳細は上のゲンロンのイベント「松本清張を発掘せよ」でお話します。