西日本新聞の連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」第2回(2024年6月23日)は、佐賀県唐津市の呼子を舞台にした晩年の代表作『渡された場面』を取り上げました。担当デスクが付けた表題は「玄界灘の魅力、今日に伝える」です。
呼子は北部九州に住む人にとって日帰り観光で行く場所として人気があります。吉田修一さんの『悪人』でも、呼子のイカを食べる場面が重要な役割を果たしました。呼子が面する玄界灘は、世界有数の漁場といわれ、イカやサザエが美味しいです。西日本新聞社で「松本清張はよみがえる」の講演を行ったとき、アンケートで「好きな作品」に挙げていた方が多かったので、新連載の第2回で取り上げました。
「ばってん、魚の新しかものは嬉野でんが武雄でんが食べられるとよ。ここから朝の早かうちにトラックで海から揚がった魚ばどんどん運んどるけんね」など、佐賀の「裏事情」に通じた清張らしい、訛りを帯びた会話文が魅力的な作品です。
次回は来週日曜の掲載で、西田藍さんとの直木賞予想対談は、7月中旬の掲載予定です。
玄界灘の魅力、今日に伝える 「渡された場面」 呼子(佐賀県唐津市)
松本清張がゆく 西日本の旅路(2)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1226348/
*******
今年のIAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)@クライストチャーチでは、Exploring inclusion of minorities in contemporary Japanese literature and visual worksという発表を行います。修士の時に三田の英文学専攻の演習を履修していたこともあり、たまに脱構築批評のテキストを読むのですが、今回はJonathan CullerのOn Deconstruction: Theory and Criticism after Structuralismと柄谷行人のOrigins of Modern Japanese Literatureを参照しています。
Media Studies関連では、ハーバード・ロースクールの奇才で、Nudgeなど行動経済学の著作でも知られるCass Sunsteinが好みで、Going to extremes: How like minds unite and divide(なぜか未邦訳)を引きつつ、日本の現代小説とその映像化作品についてinclusion of minoritiesという観点から論じます。Cass Sunsteinは切り口の幅の広さが魅力で、来年出版予定のClimate Justiceも面白そう。
近年、IAMCRは発表希望者が右肩上がりで(世界的にMedia Studies関連の研究者が増えているため)、査読やセッションの調整が大変だったよ、というメールが複数。南半球は真冬なので、NZLはベストシーズンではないですが、日本の梅雨よりは快適そうで、今週末からの滞在を楽しみにしています。
https://iamcr.org/christchurch2024
AUSもNZLも米ESTAと同様に、スマホのアプリで渡航許可を有料で出していますが、日本もVISIT JAPANなどの渡航許可をオンラインで有料化して、新しい財源を作り、留学生や海外からの移住者の支援に回してほしいです。