2025/02/06

松本清張生誕115周年記念 国民作家・松本清張の原風景、小倉

 2025年3月2日に小倉の丸善リバーウォーク北九州店で、「松本清張生誕115周年記念 国民作家・松本清張の原風景、小倉」の講演を行います。北九州市立松本清張記念館のご協力を頂いています。私の講演に限らず、学芸担当主任の中川さんとの対談もあり、地域色の強いイベントです。丸善リバーウォーク北九州店には、私と中川さんのお薦めの清張作品も展示されているかと思います。

https://riverwalk.co.jp/event/maruzen_event_05/

 このイベントは西日本新聞の文化面でも告知を頂いています。西日本新聞の連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」は、今月1回、来月2回の掲載予定です。

https://riverwalk.co.jp/app/wp-content/uploads/2025/01/d7b4243094e692bfbc30f664037267ec.pdf

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 第59回スーパーボウルはPhiladelphia Eaglesの勝利で「Fly, Eagles fly」が何度も聞こえてくる好ゲームでした。試合前の取材では、今年もGuillermo Rodriguezが頑張っていました。Saquan Barkleyに「あなたは足が速いですが、なぜ逃げてるんですか?」と聞くなど、笑いました。ABCの Jimmy Kimmel Liveでおなじみの元不法移民で駐車場警備員のメキシコ系コメディアン。彼の活躍そのものがトランプ政権への抗議と言えます。

Guillermo at Super Bowl Media Night 2025

https://www.youtube.com/watch?v=36jvzto3VPw&t=162s

 今年のEaglesはOLが史上最大の総体重で、RBが2000ヤード超えのBarkley、WRがA.J.とDevonta、QBがHurtsというオールスター。時間消化すればいい場面でも、ロングパスという狂ったプレーコールで、40代のHCのNick Sirianniが2年前のSB敗戦からよくチームを立て直したと思います(たとえばJets時代は左利きで稼ぎたいとごねていた巨人・Mekhi Bectonを、LTからRGに転向させるとか)。EaglesはDLのラッシュ、DBのZone Coverからのタックルが速く、三連覇予想が多かったAndy Reid-Chiefsを攻守で圧倒していました。ただMahomes-Chiefsも30点以上離されても、Worthyなど若手を軸に20点以上取り返す、将来を感じさせる見事な敗戦でした。

NFL Super Bowl LIX Mic'd Up, "Is Jalen Hurts gonna smile now?" | Game Day All Access

https://www.youtube.com/watch?v=-wv-6dOB4eI&t=159s

 今年の中継は順番でFOXでしたが、トランプやスイフトはそれほど映らず、ハーフタイムショーのKendrick Lamarや前夜祭のLady Gagaなど、音楽でバランスをとっていた印象を受けました。Kendrickのハーフタイムショーは含意が深く、アンクル・サムを「超自我」として擬人化させて、メタ認知的に代表曲を批評的にからかいつつ、「good kid, m.A.A.d city」以来の「マイノリティとしての無意識」を深堀りする好パフォーマンスでした。

Kendrick Lamar's Apple Music Super Bowl Halftime Show

https://www.youtube.com/watch?v=KDorKy-13ak

 Kendrickは、Not Like Usでグラミー賞のRecord of the YearとSong of the Yearを獲得したので、ピューリッツァー賞も獲ってますし、あとはノーベル文学賞かなという印象。ただアンクル・サムの台詞に表れていたように、自身やHip Hopのジャンルそのものへの危機意識もメタ批評的に表現していました。2015年の「To Pimp a Butterfly」の先を模索しつつ、ピークを過ぎたことも自覚し折り合いをつけ、後輩のSZAに託した思いのようなものを感じました。Lady Gagaみたいに、熱唱系の持ち曲がなく、常に新しいものを求められるのがKendrickの大変なところ。

Lady Gaga performs 'Hold My Hand' ahead of Super Bowl LIX | NFL on FOX

https://www.youtube.com/watch?v=XUw3-6YuJTo

 Kendrickのコラボで近年一番良かったのは、WeekendとのPray For Meだと思います。間奏のラップが圧巻で、短文で韻を踏みながら、アメコミ・ヒーロー物への的確なメタ批評を展開しています。

The Weeknd, Kendrick Lamar - Pray For Me (Official Lyric Video)

https://www.youtube.com/watch?v=XR7Ev14vUh8

 メディア・ジャーナリズム研究の文脈でいうと、今回のスーパーボウルも、昨年に続いて視聴者数で歴代最高を記録していますが、シーズンとプレイオフの視聴者数は微減しています。おそらく原因は、試合数が増えてプレイオフを見越した消化試合が増えた影響と、DAZNなどのサブスクが増えた影響が大きいと思います(CMなどスポンサーの傾向にも変化が感じられますが、このあたりの詳細は授業で)。あとTom Brady(顎がどんどんひし形化)など大物選手の引退と、ヨーロッパや南米での試合増(サッカーファンの取り込み)もあるので、微減というよりは高止まりと考えた方がいいかもしれません。

The best commercials of Super Bowl 2025

https://www.youtube.com/watch?v=HwqLPn3P4LE

 近年、アメリカではNFLだけではなく、カレッジ・フットボールの人気がすさまじく、大学スポーツを超えた「地域を代表するフェスティバル」になっている印象を受けます。NCAAの改革で、有名選手や人気チアが在学中に数億円を稼げる時代。アメリカの大学も生き残りが熾烈で、Oregon大学やLSUなどフットボールで躍進している大学の存在感が増しています。Indianapolisにはカレッジ・フットボール専用のミュージアムもあり、私も「神の子」Tim Tebow(フロリダ大学、パプテスト派)のシャツを来て行ったことがあります。

The BEST College Football Crowds/Atmospheres

https://www.youtube.com/watch?v=t9MbjQcSkpc

 近年のカレッジ・フットボールで注目すべきは、Joe Burrow以来、トランスファー(転校)経験のあるスターQBが増えている点だと思います。今年のNFLでもチャンピオンシップに残った4人のQBのうち実に3人がトランスファー経験者(たとえば今年のNFLでMVPをとったJosh Allenは農家から無名大学を経てWyoming大学)。スーパーボウルを獲ったHurtsも、Alabama大学でスターターになれず、Oklahoma大学に転校してドラフト2巡の評価でした。将来のある選手に、新しい環境で再起のチャンスが与えられることは、リーグの活性化につながり、長い目でいいことなのだと思います。

How A Small-Town Farmer Became An NFL Superstar

https://www.youtube.com/watch?v=gIlU-LMT0v4&t=761s