2024/05/20

読売新聞朝刊で『松本清張はよみがえる』をご紹介頂きました

 読売新聞朝刊(2024年5月20日)で『松本清張はよみがえる』をご紹介頂きました。保坂正康氏の『松本清張の昭和史』と並べてご紹介頂き、嬉しい限りです。

 松本清張については、昭和史関連の研究を、ゲンロンでご一緒する原武史先生と保坂正康氏が長らく牽引されてきましたので、感慨深いです。原先生と與那覇潤さんとのゲンロンの鼎談と、松本清張研究会での講演と、6月9日スタートの西日本新聞の新連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」の準備に力を注ぎたいと思います。

 読売新聞のカラーページでの紹介だったこともあり、珍しくAmazonで「ベストセラー」のタグが付いていました。2刷が見えてきたかもしれません。

本よみうり堂「松本清張 今日的意義問う…分析する書籍刊行続く」(2024年5月20日)

https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/articles/20240519-OYT8T50062/



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 ダルビッシュ有投手が日米通算200勝!「日本全体が自分を優しく育ててくれた」というコメントも良かったです。NHKが羽曳野市に中継を入れていたので、喜んでいるお母さんの姿も見れました。十数年前に結婚した時、日ハムの球団会長だった今村純二氏経由でサイン色紙を頂いたこともあり、MLBでの活躍を楽しみにみてました。今村氏は長崎出身で、日ハムの北海道移転と、地域に根ざしたファン文化の醸成に尽力された方で、ダルビッシュ選手のドラフト時に球団社長でした。多彩な変化球投手として、冷静沈着な先発投手として、北海道・日ハムがダルビッシュ選手を育てたと思います。史上最高の日本人投手であることは間違いなく、野茂英雄氏が持つメジャー123勝の記録超えも期待しています!
Pitching Arsenal: Yu Darvish
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「文學界」編集部より、文学フリマ東京で販売した小冊子をご恵贈頂きました。特集は「大解剖! 文學界新人賞」で、癖のある玄人らしい文章が多く興味深く拝読しました。小冊子は会場で完売したそうで、後日、電子版も販売するそうです。現代でも「文學界」の同人雑誌評で西村賢太が注目されてデビューしたり、一穂ミチさんが同人誌の二次創作で経験を積み、BLと現代文学を架橋したように、文学フリマを通して同人誌と文芸誌の関係が深まることは、とても大事なことだと思っています。「文學界」のクリアファイルは、先々、私の授業で良い文芸批評を書いた学生にプレゼントします。

2024/05/04

ゲンロン「松本清張を発掘せよ」2024年6月2日

 ゲンロンカフェで原武史先生と與那覇潤先生と「松本清張を発掘せよ」というトークイベントを行います(2024年6月2日・日曜日15:00~)。ゲンロンの説明文の通り、原先生は松本清張研究の第一人者で、『「松本清張」で読む昭和史』や『松本清張の「遺言」』などの素晴らしい著作があります。與那覇さんは、最新作の『危機のいま古典をよむ』で清張の「実感的人生論」について論じており、『平成史』だけではなく、昭和史にも造詣が深く、お二方との議論は表題に相応しいディープなものになると思います。

 今回のイベントでは『点と線』『ゼロの焦点』『日本の黒い霧』『砂の器』『昭和史発掘 2・26事件』『神々の乱心』を中心に取り上げます。清張の昭和史系の大作と長編の代表作を網羅した重量級のラインアップで、入念な準備をしつつ、楽しみにしています。日曜のお昼の開催で参加しやすいかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。昨年の司馬遼太郎のイベントも好評でした。

https://genron-cafe.jp/event/20240602/


 2024年6月1日・土曜日は14時から、松本清張記念館の第47回松本清張研究会(東京学芸大学)で講演を行います。表題は「清張作品の「謎」と「秘密」に迫る ― 『松本清張はよみがえる』を手引きに」です。ゲンロンとは異なるメディア史研究寄りの視点から、『松本清張はよみがえる』で参照した講演録、全集所収の自作論・月報・エッセイ、『半生の記』(「文藝」初出の「回想的自叙伝」を含む)などの資料をもとにした話をしながら、過去の「松本清張研究」の成果(創刊号~第二十四号、記念館図録など)に敬意を示しつつ、批評の方法論、作家としての生き方、生の題材を扱う「ジャーナリスト」としての松本清張の価値などについてお話する予定です。

https://x.gd/g9GZ1

 西日本新聞の新連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」は、6月9日スタートの予定です。作品の舞台となった場所に着目した批評文の連載です。掲載頻度は前の連載よりも緩やかで月に1~2回の予定です。『松本清張はよみがえる』(西日本新聞社、2024年)も好評販売中です。

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 ChatGPT 4oについて、Excelでニュースのメタデータを読み込ませて、自然言語解析を指示すると、英語はPythonの正規表現で、日本語はJanomeで解析して、人手の編集次第で使えそうなデータが出力されるので、面白いです。表記のゆらぎや固有名詞(proper noun)の判別は、「はて?」という感じで、限界がありますが、学習データが増えれば、将来的に改善しそうです。地名を用いたマッピングについては、私の研究用途ではいまいちですが、Python-GeoPandasを使って頑張っている感じはします。TF-IDFの解析は断られましたが、30秒ぐらいでPythonの処理コードを書き出してくれました。メタデータの作成と入力文章の工夫次第で、将来的に個人研究の幅が広がりそうです。
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 最近は、学生と一緒に読むのにちょうどいい難易度の認知バイアスに関連する英語・日本語の文献を調べています。メディア・ジャーナリズム研究(元々は社会心理学との関係が深い)と行動経済学・ガバナンス論の間ぐらいで、学部で学んだ心理学の知見を、現代的なメディア論にアップグレードして、授業に取り入れたいと考えています。7月のIAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)の発表準備にもそろそろ取り掛からなければ。。
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 2週間ほどかけて『昭和史発掘』1巻~9巻を読み返しました。2.26事件以外でも軍隊内の部落差別を告発した「北原二等卒の直訴」や、甘露台こと大西愛治郎の「天理研究会事件」(ほんみち不敬事件)など、「昭和維新」の裾野の広さを感じさせる題材が面白かったです。詳細は上のゲンロンのイベント「松本清張を発掘せよ」でお話します。

2024/04/26

新潮社「考える人」の連載「たいせつな本」で松本清張の代表作10冊を紹介しました

 新潮社の「考える人」の連載「たいせつな本 ―とっておきの10冊―」の20回目を私が担当しました。表題は「松本清張はよみがえる!「嫉妬」と「格差」の時代を生き抜くための10冊」です。清張作品のベスト10を新潮文庫を中心に紹介していますが、『無宿人別帳』『球形の荒野』『Dの複合』を挙げているのは、過去の清張作品の評者と比べても、珍しいかも知れません。お時間がありましたら、ぜひご一読頂ければ幸いです。

https://kangaeruhito.jp/article/758925

 プロフィール欄に掲載の通り、2024年6月より西日本新聞で、新連載「松本清張がゆく 西日本の旅路」(仮題)を担当予定です。こちらの詳細はまた後日。『松本清張はよみがえる 国民作家の名作の旅』関連では、週刊読書人の5月3日号(4月26日合併)に「著者から読者へ」の原稿が掲載されました。あとは母校の雑誌(発行部数が2万と知り、雑誌不況の中、驚きました)と、近々、新聞の取材記事が出る予定です。

2024/04/05

Newsweek日本版に『松本清張はよみがえる』の記事が掲載されました

 Newsweek日本版(2024年4月5日)の「シリーズ日本発見」に『松本清張はよみがえる』の記事が掲載され、Yahoo!ニュースにも転載されました。『松本清張はよみがえる 国民作家の名作への旅』(西日本新聞社 )より「はじめに」を一部抜粋した内容(表題やリード文は編集部作成)です。

 なぜ私たちは松本清張に励まされるのか?...41歳でデビューした作家が描いた「不公平な時代」を生きる人間のまがまがしい魅力

https://www.newsweekjapan.jp/nippon/season2/2024/04/492577.php

Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/285d18ba948663f1515b6f5aacd3d5d2e421c815

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「虎に翼」を観ていたら、プロデューサーがNHKの石澤かおるさんで、2020年の秋学期に、英語のジャーナリズムのゲスト講義で、お話しを頂いていました。その時は「あさイチ」や日本の美容番組の海外輸出の話が中心でしたが、細やかな配慮の行き届いた、カラフルな番組作りが印象的で、「虎に翼」のキャスティングや演出にも、石澤さんの個性が出ていると感じています。韓非子から採った表題も上手いです。イントロのアニメーションも鮮やかで、市井の人々の描き方に、朝ドラとして新しさを感じています。個人的には、三淵嘉子が戦争で書生の夫や両親を亡くした後、再起をはかる姿や、判事として活躍の場を切り開いていく姿(原爆裁判や家庭裁判)をどう描くのか、楽しみにしています。歳をとると、物語よりも時代考証に関心が向いてしまいますが、それも映像を観る楽しみですね。

2024/03/18

佐藤正午『冬に子供が生まれる』書評/北海道新聞

 北海道新聞に佐藤正午さんの話題作『冬に子供が生まれる』の書評を寄稿しました。7年ぶりの新作で、直木賞受賞第一作です。直木賞を受賞し、第一作を7年も出さなかった作家は、他にいないのではないかと思います。この間に映画は2本作られていて、『鳩の撃退法』に登場する作家の津田は、直木賞を2年連続で受賞しています。ヴォネガット、ナボコフ、ジェームス・M・バリー、村上春樹、中井久夫と、短文ですが、様々な書き手の作品を思い浮かべながら、論じました。
 私の息子も冬に生まれましたが、本作に記されているような「メールによる事前連絡」は無かったですね。子供たちとヴォネガットや佐藤正午の「時空の歪みを感じさせる小説」について話す日が、いつか来るでしょうか。
 佐藤正午さんは佐世保からほとんど出ずにプロとして書いて来られた作家です。直木賞の受賞会見も電話で、山田風太郎賞の時も欠席でした。近作の小説のテーマが、偽札→生まれ変わり→UFOというのもユニークで、佐藤さんのように地方在住で「個性の強い作家」が少なくなりました。ここ3作のモチーフに、作家らしい実存を賭けたリアリティを感じます。札幌とも佐世保とも解釈できる土地を舞台にした、北海道新聞にぴったりの本で、良い機会でした。同じ書評欄には上野千鶴子先生と千葉一幹先生が寄稿されていました。

<書評>冬に子供が生まれる 佐藤正午著 皮肉こもった「文明批評」


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 IAMCR(国際メディア・コミュニケーション学会)のカンファレンスの査読を通りましたが、開催地のニュージーランド・クライストチャーチの7月は冬で、最高気温が10度前後、冬装備が必須とか。発表は、日本の地方を舞台にした現代文学とその映像化作品のマイノリティの表象に関する内容で、査読者1が中の上ぐらいの評価で、査読者2がほぼ満点の評価でした。平均するとほどよいスコアで「知足者富 不失其所者久」(老子)という感想。IAMCRはEx Ordoを使っているので、査読結果のフィードバックが早くて良いです。
 7月に冬というのは調子が狂いますが(円安もストレスですが)、カンタベリー大学に滞在しながら、他国の研究者と話をするのを楽しみにしています。IAMCRはUNESCOの後押しで1957年にできた国際学会で、国連の各部局に関係するセッションも多いですが、昨今の国際情勢にメディア・コミュニケーション研究がどのように寄与すべきか、毎年問われているように感じます。
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 春休みは『松本清張はよみがえる』に関連した原稿×2、講演の準備や、電通の依頼で日本企業の海外CMの監修に取り組むなど。骨折と脱臼で寝てる時間が長くなり、体重が増えたので、塩分や糖分やアルコールの摂取量を抑えつつ、リハビリの強度を上げていきたいです。
 リハビリのモチベーションを上げるためにNFLの選手のトレーニング動画をみることが多いのですが、同じジャンルでは、ロッキーのダイジェスト動画が英語圏で人気です。フィラデルフィアの街並みが心地よく、イタリア市場の人情ランニングや、カトリック教徒らしい十字架スクワット、生卵のジョッキ飲みや、冷凍庫の肉塊へのプロレタリア・パンチ(そんなことをやっていいのか)など、スタローンの脚本らしい、味わい深いシーンが多いです。スタローンは父親がイタリア系のカトリック教徒です。
 ただスタローンの筋肉は、どう見てもボクサーのそれではなくボディービルダーのそれです。「ランボー2 怒りの脱出」や「ランボー3 怒りのアフガン」の時も思いましたが、兵士ではなく、完全にボディービルダーです。「ボディービルダーは助けてくれるのか?」という疑問を、弓矢でヘリを爆破するなどの大活躍で払拭してくれます。ちなみに「怒りのアフガン」は、米軍にタリバンが味方する姿を描いていて、この映画はその後の国際情勢について色々と考えさせる内容でもあるため、一部では評価が高いです。何れにしてもスタローンの筋肉は固すぎるわけですが、ポール・マッカートニー似の笑顔がその固さを和らげるので、ロッキーシリーズは、突っ込みどころも含めて、トレーニングのモチベーションを上げるのに「ちょうど良い」のだと思います。

2024/02/18

共同利用・共同研究拠点「問題複合体を対象とするデジタルアース」 2023年度・成果報告会

 2024年3月5日に共同利用・共同研究拠点「問題複合体を対象とするデジタルアース」(中部大学)の成果報告会でオンライン発表を行います。年に一度の情報系・理工系の先生方との研究報告会です。表題は「新型コロナウイルスによる欧州のメディア報道の比較分析と地理空間上の分布に関する研究」です。今年度の発表内容は、下で公開されている2021年度の報告書の内容を、時間軸と解析・分析のデータサンプル数を拡げ、国際比較した内容です。

http://gis.chubu.ac.jp/wp_data/wp-content/uploads/2023/04/202103.pdf

 今年は解析結果のグラフだけではなく、EsriのArkGIS上で地理空間上の分布もマップとして出力します。久しぶりにArkGISを使いましたが、以前のバージョンよりグラフィックが向上していて、操作感も良かったです。本研究は新聞記事データベースの利用規約に準拠し、人手でメタデータを作成した上で、メタデータに対して解析を加えています。

 この研究は慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所(現・グローバルリサーチインスティチュート)で共同通信社外信部などと共同研究していた頃からの知見の蓄積の上で、英字ニュース及び日本語のニュースを時系列に即して解析・分析した内容です。任期付きの助教時代は苦労もありましたが、三田の東館と汐留の共同通信とSFCのゼータ館の3か所に研究室があり、学際的なプロジェクトを通して色々な経験ができたのが良かったです。Europe Media Monitorを開発・運営していたEuropean CommissionのJoint Research Centre@Ispraに行けなかったのが、少しだけ心残り。Europe Media Monitorは、ローカルニュースのアグリゲーションサイトの先駆けでした。

 この研究を通して、初年度のゼミ生にメタデータの作成をアルバイトとして手伝ってもらい、希望する大学院に進学できたので良かったと思います。人が育つのが一番。

中部大学国際GISセンター

http://gis.chubu.ac.jp/





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 Super Bowl LVIII、いい試合でした。テイラー・スウィフト効果で、視聴率が約10%上がり、アメリカの歴代視聴率記録を更新(ニールセンの調査で、CBSの平均視聴者数が1億2030万人だったそう)。私も含めDAZNのNFL GAME PASSで視聴している人も多いと思うので、ネット視聴も入れるとメディアイベントとして大成功だったと思います。ハーフタイムショーはPepsiからAppleにスポンサーが変わってから、うーんという感じですが、前座のポスト・マローンが良かったです。

Post Malone Sings America the Beautiful at Super Bowl LVIII

 マホームズの3回目のSB勝利でカンザス・シティーの時代ですが、49ersのパーディも3番手のQBからスターターに昇格してわずか1年でマホームズと競り合ったのは、すごいと思いました。パーディーの実家がアリゾナで、父親が息子の試合を見ながら泣くような好人物ですが(私も息子がパーディーだったら泣いてしまう)、父親が昔の写真でレイダースのユニフォームを着ていたので、「ブラック・ホール」に呪われたのかも知れません。確かにアル・デービスがGMだった頃のレイダースは良かった(オークランドの治安は悪かったけど)。西海岸(特にベイエリア)でレイダースを応援していると、「Why?」とか「What's the matter with you?」とか言われるので、注意が必要です。

NFL Super Bowl LVIII Mic'd Up, "I want back to back to back" | Game Day All Access

 MicrosoftやAmazonがスポンサーに入ってしばらく経ちますが、フィールド上の細かな情報がデータ化されてきた点も、試合内容に生きていると感じました。プレイコールやターゲット、距離や天候などの条件に応じたパスの成功率や、QBがパスを投げるまでの速度、各プレー毎のディフェンスのカバレッジなど、様々なデータの解析結果がチームにフィードバックされ、チームスポーツとしてレベルが向上しています。各選手が身に付けたセンサーを通して健康状態を解析しているのもすごい。

Powering the Next Generation of NFL Player Safety | Amazon Web Services

 今年のSBは、ヘッドコーチのアンディ・リード(日本では「NFLの安西先生」として有名)の試合の組み立てが上手く、前半の失敗を後半で修正し、終盤に危なげなく逆転した点が見事でした。リードの年俸が1200万ドルというのも納得。そもそもマホームズをドラフトした時の判断が素晴らしく、QBにアレックス・スミスがいる状況で、2017年の1巡と3巡、2018年の1巡を交換条件として、確実にマホームズを獲得したのが偉かったと思います。
 今年のSBのハイライトは、前半にケルシーが「もっと俺を使え」とリードに詰め寄ったシーンだったと思います。ニュース速報にもなり、チーフスに暗雲が垂れこめましたが、アンディ・リードは完全スルー。前半はケルシーにわずか1回のレシーブしか与えず、後半はデータの裏を突くプレーコールを連発し、ケルシーに注意が集っている状況を逆用したプレーで、タッチダウンを2つ獲り、勝利。

Chiefs Coach Andy Reid Responds After HEATED Travis Kelce Super Bowl Moment

 新しい時代にふさわしいカンザスシティーのフットボールがこれからも楽しみです。CBSの中継では、選手の家族にフォーカスした映像が良かったです(ラスベガス、シザーズ・パレスに、色々な意味で縁のあるフランク・シナトラを登場させる演出。「ゴッドファーザー2」の世界観で、このCBSの演出は粋でした)。

SUPER BOWL TEASE: CBS Sports Presents Super Bowl LVIII — 49ers vs. Chiefs

2024/01/28

與那覇潤著『危機のいま古典を読む』書評/産経新聞

 産経新聞朝刊(2024年1月28日)に與那覇潤著『危機のいま古典を読む』(而立書房)の書評を寄稿しました。表題は「コロナ禍の時代批評」です。昨年末にご恵贈頂いていて、2022年に亡くなった中井久夫の批評から始まっている点に関心を持っていた所、年明けに書評の依頼を頂きました。文化部の担当記者からも好評でした。

 近年、與那覇さんや斎藤環さんが中井久夫を再評価されているのが、学部時代に臨床心理学や文化人類学を学んでいた身として嬉しいです。『いじめの政治学』や『災害と日本人』なども含めて、人類学的な広い視野の下で、臨床医として心身のメカニズムを探求した文章に、敬意を抱いています。人類は相応に狩猟採取の時代が長く、微かな兆候に過剰な意味を見出す「微分的な認知」のあり方を、誰しもが多かれ少なかれ引き摺っているのだと。

 その他、與那覇さんの本では、松本清張の『実感的人生論』や中野重治の「吉野さん」、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』について論じた箇所についても、何か書けそうな感じがしましたが、新聞書評の文字数でしたので、最初と最後の文章にのみ言及しました。『松本清張はよみがえる』の次の本の準備(1年ぐらいの予定、戦後日本のメディア史関連)に取り組んでいることもあり、前にアステイオンに寄稿した『平成史』の書評も含めて、書きながら学ぶことが多かったです。

『危機のいま古典をよむ』與那覇潤著 コロナ禍の時代批評 評・酒井信(明治大准教授)

https://www.sankei.com/article/20240128-F7S7AX2OWFLRLM5P44JCMI7QMA/


WEBアステイオン(Newsweek日本版)

氷河期世代が振り返る平成──「喪の作業」としての平成文明論

https://www.newsweekjapan.jp/asteion/2022/08/post-71.php

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 今年のSuper Bowlは、Kansas City ChiefsとSan Francisco 49ersの対戦@Las Vegasです。QBは昨年、左足を引き摺りながらSBに勝ったMahomes (過去5年で4回目)と、Iowa州立大出身で、ドラフト最下位指名ながら、2年目、24歳でSB出場を果たしたBrock Purdy。新しい時代の到来を感じさせる、近年のSBで最も楽しみな試合です。データではMahomes-Chiefsが有利ですが、Purdy-49ersは毎日成長する育ち盛りの子供みたいな感じ。

49ers and Chiefs Super Bowl Rematch in Las Vegas Hype Video

https://www.youtube.com/watch?v=6IJy8Uma3uQ

San Francisco 49ers vs. Kansas City Chiefs | 2023 Super Bowl Game Preview

https://www.youtube.com/watch?v=kLDTSj6GRvA&t=171s

 Purdyは高校生のような外見ながら、高い判断力と強いメンタルで、昨年の終盤にチャンスをつかみ、次々とリーグを代表するQBを圧倒して記録的な連勝。今年49ersは24歳のPurdy中心にチームを再編成して、リーグトップの戦績でプレイオフへ。NFC championshipでも、前半で大差を付けられますが、Purdyはベンチでニコニコしながら、チームメイトの力を引き出して大逆転。メディアもファンも驚きが収まっていない状況です。時給5ドル50セントのスーパーマーケットの店員からSBに出たKurt Warnerと似たタイプですが、何しろ若いし、謙虚で冷静。Mahomesに勝つと、一気に2020年代のアメリカの顔になりそう。49ersはTight EndのKittleや「世界で最も有名なクリスチャン」、Christian McCaffreyをはじめ他の選手の調子も良く、Upsetもありそう。

The story behind Brock Purdy and the most relevant Mr. Irrelevant | NFL on ESPN

https://www.youtube.com/watch?v=a5eByg1qBAs&t=10s

 ただMahomes-ChiefsはDynastyと呼ばれている通り、ちょと前にDynastyと呼ばれたTom Brady-Patriotsと同じくチームとして完成度が高いです。NFLはサラリーキャップ制なので、いい選手はどんどん流出するのですが、Mahomes-Chiefsは選手が入れ替わってもGovernanceに安定感があります。昨年からTight EndのTravis KelceがTaylor Swiftと交際中なのも話題。昨年KelceはSaturday Night Liveでもホストを務め、ホワイトハウスでもBiden大統領と絡んで、絶好調。Mahomesと共に、Kansas Cityの価値を高めています。

Chiefs, Patrick Mahomes, Travis Kelce present President Biden with jersey at the White House

https://www.youtube.com/watch?v=zmPYBKgBei4

 Mahomes-Kelce-SwiftのホットラインはSBでも熱そうです。ハーフタイムショーのUsherよりも、客席のTaylor Swiftを観たいファンが多そう。Swiftと一緒に映ることの多いKelceの母は、兄のJason Kelceも一流のNFL選手に育てた、アメリカでも有名なBig Mamaの一人(Swiftは母Kelceより背が高い)。

Taylor Swift is a regular at the Chiefs and Travis Kelce games!

https://www.youtube.com/watch?v=0o1tgjwnjFY

 KelceとKittle、両チームのTight Endが注目されるSuper Bowlですが、TEが活躍する現代文学と言えば、ジョン・アーヴィングの名作『ガープの世界』です。アーヴィングは、49ersのKittleと同じアイオワ大の出身で、同大で無名時代のカート・ヴォネガット・ジュニアに指導を受けています(素晴らしい師弟関係)。ジョージ・ロイ・ヒルの映画版「ガープの世界」では、LGBTQの元プロTEのロベルタを、ジョン・リスゴーが見事に演じています(要所で炸裂するロベルタのTEらしいタックルが映画版の見どころ)。ロビン・ウィリアムズも良いです。

The World According to Garp - Original Theatrical Trailer

https://www.youtube.com/watch?v=VmRPh1xwab8

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 期末レポートの採点を終えました。提出率も高く、いい内容が多かったです。特に『現代文学風土記』を参考に、全国各地を舞台にした現代小説から好きな作品を選び、自由な論点で分析するレポートに学生の個性が出ていて面白かったです。東野圭吾さんや湊かなえさん、吉田修一さんや桜木紫乃さんの小説が人気で、現代小説への関心は高いと感じました。

2024/01/16

第170回直木賞対談

 西日本新聞朝刊(2024年1月16日)に、第170回直木賞について、書評家の西田藍さんと対談した記事が掲載されました。前回は、2作の予想が的中という結果でした。この連載も4年目に入りました。

 今回は村木嵐さんの『まいまいつぶろ』と嶋津輝さんの『襷がけの二人』を、受賞作に相応しいと予想しています。古典芸能・文学の復興には、質の高い時代小説・歴史小説の流行が不可欠だと、個人的には考えていますが、近年、気鋭の中堅作家による時代小説・歴史小説の復興の兆しが感じられます。

 今回私が推した2作品についての対談用のメモは下記です(対談の内容とは異なります)。今回も力のある候補作が多く、読み応えがありました。

 対談で推した著者以外でも、河﨑秋子さんの作品は前の候補作よりも道東の風土を深掘りした迫力ある「熊物」だったと思います。宮内悠介さんは「文体」が魅力的で、様々なジャンルの小説を書くことができる実力ある作家だと思いました。加藤シゲアキさんは、格段に小説を書く力量が高まっており、同じく青山学院大学を卒業し、ニューオータニに勤務した後、推理作家に転じた森村誠一(2023年没)のように、異業種出身の作家らしい大胆な切り口から、今後も推理小説を書いてほしいです。

西日本新聞

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1167980/

Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/65edc8d65730ab091dcf3bd2d8517edb81201cc9

 書籍版の『松本清張はよみがえる』は、もうすぐ印刷所に入りますので、書影などの情報が公開されると思います。奥付の記載は2024年3月1日の発行です。

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村木嵐『まいまいつぶろ』

・話し声が周囲に理解されず、顔面麻痺があり、半身不随で筆談も出来ないが、聡明だったとされる徳川家重と、その「通詞」大岡忠光の二人三脚の人生を描く。

・大御所・徳川吉宗の改革と、それを引き継いだ家重の治世を、忠光の存在に光を当てながら描いた筆力が光る。吉宗―家重―家治の徳川8~10代の時代は、重農主義から重商主義への過渡期で、歴史小説の題材として面白い。

・障害や外見に対する差別を受ける中で、他人の人格や才能を見る目を養い、的確に人を抜擢し、家臣の才能を開花させ、自らの才能も開花させた将軍・家重の現代的な価値の大きさが伝わってくる。

・誹謗中傷を受け、差別されながら、権謀術数が渦巻く江戸城の政治を生き抜き、確かな実績を残した家重と忠光の人生に、現代でも励まされる人は多いと思う。

・「まいまいつぶろ」のようにのろのろとしているが、大きな殻=「百姓たちの、言葉の通じぬ苦」を取り除くような、家重らしい弱い立場の人々への視線が生きた政治を描いた作品と言える。

・大奥の世継ぎをめぐる争いや、酒井忠音・忠寄、田沼意次など世代交代していく老中たちの政治をめぐる描写も面白い。

・老中にも嫌疑が掛かる「郡上藩の再吟味」の描写など、一つ一つの場面に幕政をめぐるドラマがあり、「将軍の政とは、人の才を引き出し、その者に存分の働きをさせることでございます。全軍を統御なさるがゆえに、眼前の政に関わられてはならぬのでございます」など、現代にも通じる「政治学」が感じられる。

・司馬遼太郎の影響を見出すなら、司馬が『国盗り物語』で、頭脳明晰で行動力のある斎藤道山に戦国時代のエッセンスを見出したような、歴史上の人物を描く切り口の鋭さだと言える。

・前回に直木賞を獲得した永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』など、近年、女性作家が描く歴史小説・時代小説に、英雄豪傑が切り開いた歴史の影に迫った秀作が多い。


嶋津輝『襷がけの二人』

・戦前戦後の困難な時代を、女中の仕事に就きながら生きた女性二人の人生を、フロイトの言う意味での性的な欲動≒他者との関係のあり方に関わる欲望を通して描いた作品。

・名家ではあるが、炊事を中心とした家事や夫婦の性生活の具体的な描写を通して、時代を肉付けしている点が面白く、長子相続などが無くなった現代とはやや異なる「家」のあり方からズレる女性の感情を、上手く捉えている。

・平凡と自認する女学校出の千代の、平凡とは言えない名家の妻としての人生とその居心地の悪さを、芸者として苦労した過去を持つ、年長者のお初の繊細な配慮を通して浮き彫りにしている点も巧み。千代とお初のコントラストが物語の中で映える。

・一般に小説は文体が大事だとされるが、大衆小説においては文章の技巧よりも語り口が大事だと思う。本作の語り口は軽やかでありながら、人の死が身近な時代の女性の生と性を、奥行きを持って描いている。

・女性からも男性からも疎外されてしまう、不器用な千代とお初の共生を描く。お初の語りを通して、女中や芸者の仕事を美化することなく、卑猥な花電車の芸を期待されたり、身請けされることへの不安を浮き彫りにしている。

・フィリピンから帰還し、精神疾患を有し、家族と離れて働く秋山と千代の不器用な性愛について、秋山の死後に醜聞を広められるなど、両義性を持ったエピソードが良い。

・『窓際のトットちゃん』の映画化の影響もあり、女性の視点から戦前戦後の日常を描いた作品に関心が向きやすい状況が、追い風と言えるかも。

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 新年の能登半島地震(M7.6)について、被害の大きさに心が痛みます。モーメント・マグニチュードで阪神淡路大震災や熊本地震の約9倍という推定もあり、昨年5月にもM6.5の地震が起きていることを考えると、先行きが心配です。

 松本清張の『ゼロの焦点』の批評を書く上で、映画版のロケ地を中心に能登半島を回り、七尾の西村賢太の墓を訪ねたり、能登金剛や真脇遺跡、西田幾多郎の哲学館に立ち寄っていました。清張作品や宮本輝の作品で言及される能登半島の漁業や窯業についても調べて、土や地層に着目したブラタモリの輪島塗の回も、興味を持って観ていました(輪島塗の漆器が、輪島の地で作られるからこそ高品質になる理由がよく分かりました)。

 先々は学生とボランティアに行きたいと考えていますが、先ずは次年度の共同利用・共同拠点の研究で、今回の震災報道の質・量、時空間の分布を、東日本大震災の分析結果と比較しながら、メタデータを作成して解析・分析したいと考えています。自宅の食器も輪島塗のものに順次買い替えていきたいと思います。

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 年明けからJapan Studies Associationの発表で久しぶりにハワイに滞在していました。日本学の国際学会は、文化研究を中心として、まだまだ関心が高いという印象でした。

 学会参加者向けにコミュニティ・カレッジで、ハワイの日系移民が伝えた料理の講習会があったのも良かったです。娘がマグロ丼が好きなので、AHI POKEのレシピに関心を持ちました。私の故郷の長崎は本マグロの養殖が盛んで、漁獲量が日本一ですが、食べる人は少なく、マグロは県外輸出・外貨獲得が基本で、鉄火巻もヒラマサ(白身)です。私もあまりマグロを食べませんが、AHI POKEは美味しかったです(個人的には、ダイナマイト、キムチ、メキシカンなどスパイシー系のAHI POKEが好みでした)。金子信雄に学んだ調理技術で、AHI POKEを食生活に取り入れたいと思います。

 日系シェフのレクチャー&試食で最も印象に残ったのは、広島からの移民がハワイに伝えたとされるChicken Hekka(≒鳥のすき焼き)でした。広島の方言で鋤をヘカと言うらしく、当初貧しかった日系移民は、牛肉を鶏肉で代用してすき焼き風の料理を作ったのだとか。ダニエル・イノウエが広島と福岡の日系二世ですが、彼もこの素朴な味わいのHekkaを食べて、片腕を失ったハンデを乗り越えたのだろうなあ、と日系移民の歴史に思いを馳せてしまう、昔ながらの日本料理の味付けでした。

2023/12/25

書籍版『松本清張はよみがえる』2024年2月~3月に刊行予定

 書籍版『松本清張はよみがえる』(西日本新聞社)の校正作業が2稿まで終わりました。新聞連載の原稿を加筆修正し、1.8倍ぐらいの分量で50の清張作品について論じています。イラストや地図も入り、過去の松本清張関連の本と異なる視点から、文芸批評とメディア史研究の間で、企図したテーマや方法を展開できた感じがします。2024年の1月中旬に印刷所に原稿が入り、2月下旬から3月にかけて、オンラインも含めた書店に配送されるスケジュールです。

 ジャーナリズム研究やメディア文化論に関する科目を主要科目とする教員として、この2年で西日本新聞社から単著2冊を出版でき、良い成果になったと感じています。九州北部を中心として地域性があるのも好みです。連載を含めて新聞・雑誌・Web掲載の原稿もここ4年で160本ほど。

 2024年は新たな気持ちで、次の書籍や企画に向けた準備を進めて行きたいと思います。次月の国際学会の発表や直木賞対談の準備もあり、12月も(膝と肩のリハビリに時間を費やしつつも)ほぼ休みなく仕事していました。年末年始はゆっくり過ごします。

 下の写真は地図のページのゲラの一部と、昨年の今頃に書いていた『北の詩人』の回の書籍版のゲラです。吉田ヂロウさんのイラストではこの回の林和(イム・ファ)のものが最も好みです。

2023/12/06

吉田敏浩『昭和史からの警鐘 松本清張と半藤一利が残したメッセージ』書評/週刊読書人

 週刊読書人に吉田敏浩『昭和史からの警鐘 松本清張と半藤一利が残したメッセージ』の書評を寄稿しました。担当の編集者からも好評でした。著者の吉田さんは明大文学部(と探検部)のご出身だそうです。

 松本清張が『現代官僚論3』の「防衛官僚論」(全集未収録)で展開した「三矢研究」を軸とした内容で、私は1971年の清張の講演録「世事と憲法」と半藤一利の『昭和史 1926―1945』を引きながら論じました。松本清張のノンフィクション系の仕事は、「観測気球」を上げながら世に埋もれた情報を集め、草の根レベルで国家と向き合うジャーナリスティックな姿勢が顕著で、良いです。

 核保有国の中国が日本の4.5倍の軍事費(2023年)を有している状況ですので、防衛費をGDP比2%に増やす政府方針については(明大法学部出身の三木武夫が、閣議決定でGDP比1%枠を定め、長年それをおおよそ守って来た歴史もあり)、私は「右から左」に受け流してほしいと考えています。「思いやり予算」も、「赤旗」によると、色々込みで8376億円(2023年)だとか。国連への分担金(2.4億ドル+PKO分担金5.2億ドル)を増やすなど、国際貢献が明確で、無理のない金額なら理解できるのですが。

 日本の平均年齢はすでに50歳に近く、高齢化率で世界一(2022年)、出生数も年80万人を割り込み、イノベーションも出遅れ、国際化も進展しない中で、2027年にNATO基準で12兆円超えの実質的な軍事増税というのはさすがに。。「パナマ文書」が示した富裕層や多国籍企業への国際課税、人口減と技術革新に見合った行政のスリム化、在留資格や定住者・永住者の要件の緩和など、他の政策で「大胆な改革」を期待しています。

 それはさておき、書評の書き出しは下です。

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 早稲田大学に在籍していた1990年代末、浅田彰など左派の知識人の講演会で質疑を行うと、高い頻度で「革マル派」の人から勧誘を受けた。今の大学には良くも悪くも「政治の臭い」が薄い。転機となったのは、2001年の米国同時多発テロだったと思う。テロ対策の名の下で、国防・治安の強化や個人情報の収集が当たり前のものとなり、政治が「マイノリティの排除」と紙一重の危うさを孕むようになった。この点について吉田敏浩は、本書で次のように述べている。「アメリカの対中国封じ込め戦略と軍事費倍増の要求に従って、日米同盟という軍事同盟の強化と、専守防衛の枠を踏み越える大軍拡を進めたら、東アジアでの果てしない軍拡競争と対立の激化を招く」「国家機関の国民・市民に対する監視・情報収集は、プライバシーの侵害であるうえに、個々人の「意思表示、意見表明」を萎縮させ、言論表現の自由や集会結社の自由などを侵害する」と。正論であろう。<続く>

https://jinnet.dokushojin.com/products/3518-2023_12_01

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 今学期のゲスト講師は、昨年に続き、批評家の宇野常寛さんにお越し頂きました。「松本清張はよみがえる」の連載で、高度経済成長以後の日本のメディア史について考えることが多かったので、今回は宇野さんにメディアでの執筆・運営経験を踏まえつつ、批評メディアの現在と将来についてお話を頂きました。出版不況の時代を新しいことにチャレンジしながら潜り抜けてきた同世代の宇野さんらしい貴重なお話で、参加した学生と共に楽しい時間を過ごすことができました。

 年内はこの書評で掲載は終わりで、先月は文芸関連の裏方の仕事と、電通からの依頼で某社の海外CMに関係する英語レクなど。年明けは、直木賞予想対談と、科研の国際学会発表、その間に書籍版の『松本清張はよみがえる』の作業という感じです。年始に骨折した膝のリハビリを継続しつつ、無理のない仕事量で年末を迎えています。

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 愛嬌と俊足と宮沢賢治の暗唱が取り柄で、宿題をしない息子が、公園で滑って眉間を割り、5針を縫う怪我で「旗本退屈男」のような傷にならなかったのが不幸中の幸いでした。眼を怪我しなかったことを天啓と思い、任天堂switchとYouTubeに一日の大半を費やす人生を改め、さかなクンに憧れ、海洋生物学者を志した幼年時代を思い出してほしいです。魚の淡水養殖の研究に励み、食料問題、環境問題、国連改革などに貢献してほしいです(まだ小1ですが)。