2015/02/02

アメリカン・生・フットボール

ゼミで日本のSuper Bowl中継(NHK・BS1)とアメリカのSuper Bowl中継(NBC)を比較分析する会を実施しました。英語の解説と日本語の解説の違いについて考えつつ、「世界最大のメディア・イベント」の背景にある諸問題について、教員のレクチャーを受けながら考える内容です。国際メディアの比較分析を、楽しみながら実践する課外ゼミの一つと言えます。




オープニングの国歌斉唱の背後にある意味や、フットボールの歴史と「軍事の文化」、ハーフタイム・ショーとブロードウェイミュージカルの関係など、Super Bowlには、現代アメリカについて考える上で良いきっかけとなる様々な「文脈」が織り込まれています。
またSuper Bowlは「世界最大のスポーツ・イベント」や「世界最大の歌謡ショー」であるだけではなく、「世界最大の広告の祭典」でもあり、現代の世界を代表する企業のCMが次々と放映されます。

今年はアメリカの好景気もあって、NBCが売り出した30秒枠のテレビCMの平均販売価格は450万ドル(約5億4千万円)だったらしいです。学生から見ると広告料に見合うCMもあれば、「これで5億4千万円・・」というCMもあったようで、同じ「5億4千万円」の30秒の時間にも、様々な表現の違いが見られたようです。トヨタや日産など日本企業のCMも放映されており、日本で放映されているCMとはだいぶ違う内容に興味津々の様子でした。
下のサイトに一覧が載っていますので、関心のある人はチェックしてみて下さい。
http://www.huffingtonpost.com/news/super-bowl-commercials/

試合の方もレベルの高い接戦で、ハーフタイムショーのケイティ・ペリーとレニー・クラヴィッツの世代を超えた共演に、学生たちも相応に盛り上がっていました。レニー・クラヴィッツも、久々見ると太ったね。


ともかく、このような機会を通して、学生たちに「生のアメリカ文化」を体感しながら、その文化的な魅力とそれが表象する社会的な諸問題について考えてもらえればと思っています。



2014/09/03

「未来茅ヶ崎市」政策コンテスト

「未来茅ヶ崎市」政策コンテストにゼミの学生が2チーム出場しました。「人にやさしい観光地 ロボット産業を育てる茅ヶ崎」という発表の方は、予選通過が1位で、決勝の投票では2位でした。全体によい経験になったと思います。発表内容は、未来の茅ヶ崎市について構想したもので、茅ヶ崎市の駅とビーチの間に無人車の走行レーンを作り、車で来なくても車で海沿いを移動できるようにして渋滞を解消するという内容や、津波避難用の駅ビルを作り、屋上から観光用の無人ヘリを飛ばして観光客を集めつつ、無人社や無人ヘリを製造する産業を茅ヶ崎に誘致するといった内容でした。夏休みの宿題も一段落ということで、この調子で、他の宿題も頑張ってほしいものです(笑)
http://www.bunkyo.ac.jp/newstopics/2014/newstopic55.htm



2014/04/01

茅ヶ崎市とゼミの情報誌制作 ちがさき春夏秋冬

文教大学情報学部酒井ゼミと茅ヶ崎市で制作した財政情報誌を、茅ヶ崎市のHPで公開しています。市役所で行った発表会の様子についても写真が掲載されています。

文教大学のキャンパスのある茅ヶ崎市と連携して、学生の視点から自治体の財政情報を分かりやすく分析した内容です。大袈裟にいえば、「情報の自治」とGovernment 2.0のコンセプトを実現することを目指したプロジェクトです。市役所では、私の方から、参考事例としてアメリカのマサチューセッツ州やハワイ州などのウェブ・メディアを用いたGovernment 2.0に関する実践例を紹介しました。

財政情報誌は現在も茅ヶ崎市のHPで配布中です。印刷した冊子については、市の公共施設で展示し、一部の施設で配布していましたが、予定部数を配り終わりました。
7月上旬に文教大学情報学部が出展したJapan Expo(@パリ)のブースでも展示・配布し、7月末の東大のエコロジーとデザインに関する学会の講演でも紹介し、好評でした。
下の茅ヶ崎市のHPで21.9メガバイトの冊子を配布しておりますので(紙媒体の配布は終了)、ダウンロードして一読頂けると幸いです。

神奈川新聞での紹介記事

茅ヶ崎市HP「サザン戦隊チガレンジャーと見る ちがさき春夏秋冬」
http://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/zaisei/1008506/1008515/1008547.html




2014/03/10

女性セブンのインタビュー記事

女性セブン(2月27日号、小学館)のインタビュー記事がウェブ(Yahoo! ニュース)にも掲載されていたことに遅ればせながら気付きました。「クレームだらけニッポン」なぜ、ここまで多い?」という特集で、明日ママの内容とANAとキリンCM自粛とウェブのクレームの関係についての分析です。誌面版の原稿でも話したことが結構使われていました。他の方のコメントを含めて全体に面白い内容でした。

このテーマ関連のウェブネタで新書や批評文を書きたいのですが(すでにそれなりの分量を書いているのですが)、仕事がこないので残念です。以前に新潮45に書いた原稿にもそれなりに反響はあったのですが。。
それはさておき「女性セブン」(3月6日号、小学館)の特集「『ゆとり』10代が日本を変える!」にもコメントしてます。お時間あるときにでもご一読を頂ければ幸いです。

http://www.bookshop-ps.com/bsp/bsp_magcode?sha=1&sho=2092402114



2013/12/23

産経新聞/宮崎駿の「風立ちぬ」コラム

産経新聞の文化欄に、宮崎駿の「風立ちぬ」についてコラムを書きました。堀辰雄の小説の言葉を借りて「行き止まりの先の愉しさ」というタイトルです。ウェブでも読めますので、ぜひご一読下さい。
今年は産経の社会面に書き、文化面に終わる年でした。

【エンタメ回顧 平成25年】宮崎駿監督の引退 「風立ちぬ」 行き止まりの先の生きる愉しさ訴え - MSN産経ニュース
http://www.sankei.com/entertainments/news/131221/ent1312210006-n1.html


2013/05/18

「新潮45」6月号「特集・反ウェブ論/ネットで人生台無しになった人たち」

新潮45の6月号に「ネットで人生台無しになった人たち」という原稿を書きました。「特集・反ウェブ論」のページに掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/shincho45/backnumber/20130518/

ウェブ上では毎日のように様々な人たちが失言をしては個人情報を曝され、時に仕事を失ったり、改名や引っ越しの必要に迫られるなど、人生の選択肢を制限されています。もちろん脱法行為や不正行為は発見され、責任を追及される必要はありますが、その反面、一度、ウェブ上で非難を集めた人々が、いつまでもウェブ上で個人情報を曝され、誹謗中傷を浴びている現状は異常だと思うのです。

ITライターでワイアード編集長のクリス・アンダーソンは、最新作『メイカーズ』で次のように述べています。IT時代のイノベーションは「もしその製品がインターネットにつながると、なにがどう良くなるか」について考えることからはじまる、と。しかし「社会インフラ」と言えるほどITが普及した現代、私たちは「インターネットにつながると、なにがどう悪くなるか」についても考えた上で、行動する必要に迫られているのではないでしょうか。現代では自分が意識してアクセスした情報だけではなく、自分が気付かないうちに記録された写真や映像からも顔指紋などの生態情報が抽出され、全世界に向けて実名と共に公開されるリスクが高まっているわけです。

他、上記の文章ではグーグル・サジェストの「連想語の暴力」やSNS上の「カミングアウトの暴力」について考察しています。ぜひご一読下さい。


2013/04/21

書評/産経新聞・ゲンロンサマリーズ

産経新聞(2013年4月14日、P27)に浅羽通明著『時間ループ物語論 成長しない時代を生きる』の書評を書きました。下のサイトでも読めます。

http://www.sankei.com/life/news/130414/lif1304140011-n1.html

浅羽通明の前著、『昭和三十年代主義 もう成長しない日本』については、以前に「諸君!」に書き、一度、対談(2009年1月号 「『昭和三十年代』は玉子のせチキンラーメンの味がする)もセッティング頂きました。
『昭和三十年代主義 もう成長しない日本』の書評は下で初稿が読めます。

http://wayne80.way-nifty.com/blog/2009/07/post-825c.html

あとゲンロンサマリーズvol. 084(2013年3月27日、東浩紀責任編集メールマガジン)に、杉田敦著『政治的思考』のサマリーと書評を書きました(メルマガ会員限定の配信)。『政治的思考』は『一般意志2.0』と対照的に、闘技的(討議的)民主主義を推奨する本なので、二つの本を読み比べてみると面白いと思います。一般に杉田敦の本は過小評価されているように感じますが、論理的に明晰で、分かりやすく、参照範囲も広く、深みもあり、政治学に何となく興味ある人であれば、買って損はないと思います。

https://shop.genron.co.jp/products/detail.php?product_id=146

2013/01/18

「新潮45」2月号・安倍新政権「海図なき航海」―海外メディアはどう見ているか

新潮45の2月号に、安倍新政権「海図なき航海」―海外メディアはどう見ているか、という原稿を書きました。特集の欄に掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/shincho45/backnumber/20130118/

「日本を、取り戻す」というスローガンを掲げて安倍晋三率いる自民党が権力の座に返り咲いて、ひと月余りが経過しました。日銀を仮想敵として「金融緩和の必要性」を訴えた選挙キャンペーンは有権者の心をつかみ、ひと月ほどの間に円安が進み、「株価を、少し取り戻す」ことに成功したと言えます。

ただ三・一一の震災と核被害を経験してもなお、脱原発から原発推進へと舵が切られたり、特別会計の事業仕分けが進まないまま、一〇年で二〇〇兆の「国土強靱化・ニューディール政策」が打ち出されるなど、現状は「日本の何を、取り戻す」のかよく分からない迷走状態にあるとも言えます。

この原稿では、伝統的に自民党に優しい日本のメディアとは異なる、海外メディアの報道内容を参考にしながら、「危機突破」というより「危機突入」状態にある現状の日本について多角的な分析を試みました。

先の衆議院選挙に関する海外メディア報道の紹介は、雑誌やテレビでもちらほらとやっていましたが、私の原稿は、多くの新聞記事を参照していますので(国会図書館などで30強の新聞記事に目を通しました)、相対的にバイアスが少なく、情報分析の網羅範囲が広いと思います。年末年始に労力をかけた原稿ですので、ぜひご一読頂ければと思います。


2013/01/09

産経新聞「平成25年を迎え」

産経新聞に「平成25年を迎え」というコラムを書きました。
平成25年1月6日の特集欄に載っています。

http://www.sankei.com/life/news/130106/lif1301060016-n1.html

思えば、平成二〇年に私は『平成人(フラット・アダルト)』という本を書きました。この本で私は平成という時代の大きな特徴は、冷戦構造の崩壊によってグローバル化が進行したことと、IT革命によって、人が管理する情報と、人を管理する情報の技術革新が起きたことの二つにあると考えました。
この考えは、五年経った今でも変わりません。グローバル化の影響で世界中に安価な「もの」があふれるようになり、IT革命のおかげで世界中に無料で膨大な量の「情報」があふれるようになりました。この結果、資本主義の回転速度が上がり、世界中で生産と流通の効率化が進み、世界中で「人」があぶれるようになりました。
丸山真男が「開国」で記したように、近代日本の第一の開国が明治前期にあり、第二の開国が、敗戦後の昭和二〇年代にあったとすれば、グローバル化とIT革命が進行した平成初期は、第三の開国の時代だったと言えます。

平成も25年目で、振り返ると冷戦の終わりが「歴史の終わり」と呼ばれた頃には考えられないほど、色々なことが起きたように思います。冷戦期の方が相対的に世界秩序が安定していたと、多くの人が思っているのではないでしょうか。
アメリカとソビエトが対立していた時代の方が、ものや情報や人の流動性が低く、世の中は非効率的ながら、もっと穏やかで、そのような世界の中に「取り戻すべき日本」があるのだ、と。

ただ上のコラムや『平成人(フラット・アダルト)』でも書いたとおり、「失われた時代」の中にも新しい価値観の変化に根ざした社会秩序があり、そのあたりの詳細はそのうち書くことになると思います。


2012/10/18

「新潮45」11月号 バーチャル空間で過熱する「反日感情」

「新潮45」11月号に、バーチャル空間で過熱する「反日感情」、という原稿を書きました。特集の欄に掲載されています。

http://www.shinchosha.co.jp/shincho45/backnumber/20121018/

共同通信によると、9月に中国各地で起きたデモは、125都市で100万人近くを集め、日本でも様々な分析がなされてきました。ただ中国固有のネット文化との関わりで、今回のデモを分析した記事は皆無に近かったと思います。この原稿は中国の検閲事情と、若い世代のネット文化、都市近郊の若者の生活事情などを踏まえた上で、先の反日デモについて分析した論考です。

すでに中国の現在のネット人口は、2012年6月の時点で、5億3760万人います。今年と同様に大規模な反日デモが起きた2005年から、7年間で5倍以上に増加し、増加分の大半は若い利用者です。そして今回の反日デモに参加した人々は、ネットの利用頻度の高い10代後半から30代で、2011年8月に起きたロンドン暴動と同様に、インスタント・メッセンジャー経由で集まった若者が、デモの拡大に大きな役割を果たしています。

ネットとインスタント・メッセンジャーの普及を抜きに、今回の「反日デモ」は語れないと思うのですが、いかがでしょうか。このあたりの詳細は本文で。