年末に「負の歴史遺産」の実地調査の一環で、アメリカ大陸の先住民の遺跡に関するフィールドワークを、ニューメキシコ州とコロラド州で行ってきました。個人的には、比較文化論への関心が高いので、こういうフィールドワークが研究活動で一番楽しいです。
日本では、インディアンではなく、ネイティブ・アメリカンという言葉が使われる傾向にありますが、厳密に言うとネイティブ・アメリカンという言葉には、アラスカ・エスキモーやハワイ、サモアなどの先住民も含まれます。アメリカで「インディアン」という名称はそれほど差別的なものではなく、むしろ先住民の一定の部族を指す名称として、一般的に使われています。
今回私が訪れたのは、世界文化遺産にも登録されている下の3箇所です。何れもデンバーやアルバカーキといった大きめの街から、車で半日ぐらいかけて移動しないと辿り着かない場所にあります。そういう交通の便の悪さも、途中の自然を楽しむと思えば、心地よく、ここ最近、ロッキー山脈周辺の町が魅力的なので、その歴史について調べるのに、はまりつつあります。
そういう中で最初に向かったのは、西暦1000前後の遺跡が点在し、広大な公園内を、車で見て回る感じのChaco Culture国立歴史公園。
ここのアクセスが一番大変で、途中で道路が雨で流されて途切れている感じのところがあり、タイヤが砂に沈んで車が前に進まなかったときは、少し焦りました。
とはいえ、そういう交通の便の悪さは、手つかずの自然が保全されていることの裏返しでもあるので、先住民の遺跡がナチュラルに展示されている雰囲気を楽しむことができました。
次に向かったのはSanta Fe近くの同時期にプエブロ部族が建設した集落Taos Puebloです。
先住民のアパートという感じの建物で、土と木と水で作ったことを考えれば、高度な建築と言えると思います。メキシコシティの展示に、「アメリカ大陸の先住民は、メキシコシティ近辺まで辿り着いて高度な文明を築いた」といった内容の説明がありましたが、それはメキシコ贔屓というもので、プエブロ文化の遺跡を見る限り、ニューメキシコ州のプエブロの先住民の文明も、だいぶ高度なものであることが分かります。
Taos Puebloでは現在も先住民が住みながら補修し、現地の素材を継ぎ足しながら、往時の集落の面影を保全しています。こういう今でも人が住んで手入れしている感じの遺跡は、居心地がいいです。
最後に向かったのがMesa Verde国立公園です。ここも敷地がとんでもなく広く、入り口から崖の下に作られた遺跡まで、車で1時間ぐらいかかりました。
現地の白人のおばさんがプエブロの人たちを、「バスケット・メーカー」という呼び方をしていたのが印象的でした。実際にプエブロの籠作りも有名で、お土産が売っていたりしたのですが、1000年前後のプエブロ文化はそれよりも発達したものだったようです。ガイドへの質疑応答で、普通に話していると感じの良い年配の白人の方が、先住民に関しては、よく聞くと差別的なことを言ってたりして、驚かされました。
あとアメリカの田舎を車で走って改めて面白いと思ったのは、車検がないので色々な車が走っていることでした。
ニューメキシコ州でも車のホイールに50センチぐらいの棘の突き出た車が走ってるのを見かけたのですが、完全にマッド・マックスの世界です。
ただそういう運転手も、通りすがりに「面白い車だねー」とか言うと、「どういたしましてー楽しんでねー」という感じで、笑いながら汽笛のようなクラクションを鳴らしてくれます。
こういうサービス精神の良さに触れると、やっぱアメリカの田舎は感じいいなあ、と思ってしまいます。確実にトランプに投票してそうな人たちだけど。
先住民の人々も、外見がアジアの人々と相対的に近いこともあってか、概して優しく、こちらの細かな質問にも長々と丁寧に答えてくれて、助かりました。
近年、ゲノム調査でY染色体を調べてルーツを探る、といった研究が盛んで、本になったものも面白く、私も科学的な文明論と言語グループの関係について、関心を持っているのですが、
その一方でバーガー食べて、巨大なサイズのコーラやビール飲んで、燃費の悪い面白い車に乗って、週末にフットボール観るみたいな生活は、アメリカの田舎で見る限り、どのルーツのアメリカ人も「概ね同じ」という感じで、そういう均質さを促す現代文明の力の方も、面白なあと思います。
日本では、インディアンではなく、ネイティブ・アメリカンという言葉が使われる傾向にありますが、厳密に言うとネイティブ・アメリカンという言葉には、アラスカ・エスキモーやハワイ、サモアなどの先住民も含まれます。アメリカで「インディアン」という名称はそれほど差別的なものではなく、むしろ先住民の一定の部族を指す名称として、一般的に使われています。
今回私が訪れたのは、世界文化遺産にも登録されている下の3箇所です。何れもデンバーやアルバカーキといった大きめの街から、車で半日ぐらいかけて移動しないと辿り着かない場所にあります。そういう交通の便の悪さも、途中の自然を楽しむと思えば、心地よく、ここ最近、ロッキー山脈周辺の町が魅力的なので、その歴史について調べるのに、はまりつつあります。
そういう中で最初に向かったのは、西暦1000前後の遺跡が点在し、広大な公園内を、車で見て回る感じのChaco Culture国立歴史公園。
ここのアクセスが一番大変で、途中で道路が雨で流されて途切れている感じのところがあり、タイヤが砂に沈んで車が前に進まなかったときは、少し焦りました。
とはいえ、そういう交通の便の悪さは、手つかずの自然が保全されていることの裏返しでもあるので、先住民の遺跡がナチュラルに展示されている雰囲気を楽しむことができました。
次に向かったのはSanta Fe近くの同時期にプエブロ部族が建設した集落Taos Puebloです。
先住民のアパートという感じの建物で、土と木と水で作ったことを考えれば、高度な建築と言えると思います。メキシコシティの展示に、「アメリカ大陸の先住民は、メキシコシティ近辺まで辿り着いて高度な文明を築いた」といった内容の説明がありましたが、それはメキシコ贔屓というもので、プエブロ文化の遺跡を見る限り、ニューメキシコ州のプエブロの先住民の文明も、だいぶ高度なものであることが分かります。
Taos Puebloでは現在も先住民が住みながら補修し、現地の素材を継ぎ足しながら、往時の集落の面影を保全しています。こういう今でも人が住んで手入れしている感じの遺跡は、居心地がいいです。
最後に向かったのがMesa Verde国立公園です。ここも敷地がとんでもなく広く、入り口から崖の下に作られた遺跡まで、車で1時間ぐらいかかりました。
現地の白人のおばさんがプエブロの人たちを、「バスケット・メーカー」という呼び方をしていたのが印象的でした。実際にプエブロの籠作りも有名で、お土産が売っていたりしたのですが、1000年前後のプエブロ文化はそれよりも発達したものだったようです。ガイドへの質疑応答で、普通に話していると感じの良い年配の白人の方が、先住民に関しては、よく聞くと差別的なことを言ってたりして、驚かされました。
あとアメリカの田舎を車で走って改めて面白いと思ったのは、車検がないので色々な車が走っていることでした。
ニューメキシコ州でも車のホイールに50センチぐらいの棘の突き出た車が走ってるのを見かけたのですが、完全にマッド・マックスの世界です。
ただそういう運転手も、通りすがりに「面白い車だねー」とか言うと、「どういたしましてー楽しんでねー」という感じで、笑いながら汽笛のようなクラクションを鳴らしてくれます。
こういうサービス精神の良さに触れると、やっぱアメリカの田舎は感じいいなあ、と思ってしまいます。確実にトランプに投票してそうな人たちだけど。
先住民の人々も、外見がアジアの人々と相対的に近いこともあってか、概して優しく、こちらの細かな質問にも長々と丁寧に答えてくれて、助かりました。
近年、ゲノム調査でY染色体を調べてルーツを探る、といった研究が盛んで、本になったものも面白く、私も科学的な文明論と言語グループの関係について、関心を持っているのですが、
その一方でバーガー食べて、巨大なサイズのコーラやビール飲んで、燃費の悪い面白い車に乗って、週末にフットボール観るみたいな生活は、アメリカの田舎で見る限り、どのルーツのアメリカ人も「概ね同じ」という感じで、そういう均質さを促す現代文明の力の方も、面白なあと思います。