西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第66回 2019年7月7日)は、山本文緒の『群青の夜の羽毛布』を取り上げています。表題は「横浜郊外の家庭に潜む『闇』」です。
現在、長期化した引き籠もりの子を持つ家庭の問題が社会的に注目を集めています。「8050問題」と言われ、引き籠もりの子が50代となり、その親が入院や介護を必要とする80代となることで、金銭的にも、人間的な繋がりの上でも双方が社会的に孤立していく問題を指します。
この作品は、父が引き籠もり、娘もその世話で引き籠もるようになった家族を描いた内容です。主人公の「さとる」は今日で言う「毒親(子供を支配し、悪影響を与える親)」の下で育てられた20代の女性で、母親から22時の門限ルールや家事の分担を厳しく課せられています。
「引き籠もり」という言葉が社会的に注目されたのは、2000年前後の「就職超氷河期」と呼ばれた時代ですが、1995年に出版されたこの作品は、後に「引き籠もり」や「8050問題」として注目される問題を、現代小説らしい感度で先取って描いています。
「長編の場合、長期に渡ってその土地のことを考えなくてはならないので興味のない土地のことを書こうとは思わない」と山本文緒は述べています。この作品は山本が生まれ育った横浜市の南区を舞台にした作品で、横浜郊外の家庭に潜む「闇」を、地に足の着いた筆致で描き出すことに成功しています。
現在、長期化した引き籠もりの子を持つ家庭の問題が社会的に注目を集めています。「8050問題」と言われ、引き籠もりの子が50代となり、その親が入院や介護を必要とする80代となることで、金銭的にも、人間的な繋がりの上でも双方が社会的に孤立していく問題を指します。
この作品は、父が引き籠もり、娘もその世話で引き籠もるようになった家族を描いた内容です。主人公の「さとる」は今日で言う「毒親(子供を支配し、悪影響を与える親)」の下で育てられた20代の女性で、母親から22時の門限ルールや家事の分担を厳しく課せられています。
「引き籠もり」という言葉が社会的に注目されたのは、2000年前後の「就職超氷河期」と呼ばれた時代ですが、1995年に出版されたこの作品は、後に「引き籠もり」や「8050問題」として注目される問題を、現代小説らしい感度で先取って描いています。
「長編の場合、長期に渡ってその土地のことを考えなくてはならないので興味のない土地のことを書こうとは思わない」と山本文緒は述べています。この作品は山本が生まれ育った横浜市の南区を舞台にした作品で、横浜郊外の家庭に潜む「闇」を、地に足の着いた筆致で描き出すことに成功しています。