西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第96回 2020年2月16日)は、高村薫の野間文芸賞・大佛次郎賞・毎日芸術賞の受賞作『土の記』を取り上げています。表題は「過疎地の「暗部」を泥臭く」です。
今週は熊本の水俣に来ています。写真は石牟礼道子も創設に関わった相思社が運営する水俣病歴史考証館です。水俣病訴訟に関する歴史と、その後の患者たちが経験した「歴史」の双方の展示が充実していて興味深かったです。建物も展示も丁寧に維持されている様子で、民間の博物館らしい味わいがあります。
高村薫『土の記』あらすじ
奈良県の宇陀市を舞台に、植物状態にあった妻を亡くした伊佐夫の内面が描かれます。かつて彼は妻の実家からシャープの工場に通い、退職後は農業に勤しんできました。回想の中で妻が不可解な交通事故に遭った時のことや、妻の女系の一族の浮気にまつわる記憶が紐解かれていきます。
名所旧跡が立ち並ぶ奈良盆地から離れた「奈良の北海道」と呼ばれる宇陀市を舞台に、由緒正しい田畑が並ぶ集落の謎に迫った作品です。不器用な伊佐夫と、奔放な妻の妹・久代との淡い恋愛の描写が読み所で、そこには「過疎地文学」とでも呼ぶべき新鮮さが感じられます。
今週は熊本の水俣に来ています。写真は石牟礼道子も創設に関わった相思社が運営する水俣病歴史考証館です。水俣病訴訟に関する歴史と、その後の患者たちが経験した「歴史」の双方の展示が充実していて興味深かったです。建物も展示も丁寧に維持されている様子で、民間の博物館らしい味わいがあります。
高村薫『土の記』あらすじ
奈良県の宇陀市を舞台に、植物状態にあった妻を亡くした伊佐夫の内面が描かれます。かつて彼は妻の実家からシャープの工場に通い、退職後は農業に勤しんできました。回想の中で妻が不可解な交通事故に遭った時のことや、妻の女系の一族の浮気にまつわる記憶が紐解かれていきます。
名所旧跡が立ち並ぶ奈良盆地から離れた「奈良の北海道」と呼ばれる宇陀市を舞台に、由緒正しい田畑が並ぶ集落の謎に迫った作品です。不器用な伊佐夫と、奔放な妻の妹・久代との淡い恋愛の描写が読み所で、そこには「過疎地文学」とでも呼ぶべき新鮮さが感じられます。