西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第108回 2020年5月17日)は、江國香織の才気あふれる長編デビュー作『きらきらひかる』を取り上げています。表題は「距離感許容する求めない夫婦」です。江國香織が描く孤独であるがゆえに、他人との繋がりを求める奔放な男女の姿は、都市生活者らしく自由であり、結婚というイエ社会の制度と折り合いが付かず、不自由にも見えます。
荻窪駅前のカプセルホテルの描写があることから、中央線沿線にある東京郊外の町を舞台にした作品だと推測できます。1992年制作の松岡錠司監督の映画版では、井の頭公園や中央大学の多摩キャンパスがロケ地となりました。この映画を上京する前に見たせいか、大学と言えば、中央大学多摩キャンパスというイメージが強くあります。薬師丸ひろ子と豊川悦司、筒井道隆の演技が、東京郊外の無機質な風景と対照的に、人間臭く映えて、映画版も味わい深いです。
荻窪駅前のカプセルホテルの描写があることから、中央線沿線にある東京郊外の町を舞台にした作品だと推測できます。1992年制作の松岡錠司監督の映画版では、井の頭公園や中央大学の多摩キャンパスがロケ地となりました。この映画を上京する前に見たせいか、大学と言えば、中央大学多摩キャンパスというイメージが強くあります。薬師丸ひろ子と豊川悦司、筒井道隆の演技が、東京郊外の無機質な風景と対照的に、人間臭く映えて、映画版も味わい深いです。
江國香織『きらきらひかる』あらすじ
アルコール中毒の笑子と同性愛者の睦月の風変わりな結婚生活を描いた作品。互いに同意して始まった結婚生活だったが、複雑な感情が交錯する。睦月の同僚で同性愛者でもある柿井たちとの「奇妙にあかるく、陽気で居心地がよかった」ホームパーティーなど、新しい感覚に満ちた人間関係が魅力。