2022/07/10

「新潮」で『現代文学風土記』をご紹介頂きました

  新潮社の文芸誌「新潮」(2022年8月号)で『現代文学風土記』をご紹介頂きました。評者は乗代雄介さんで、表題は「時を隔てた人々を媒介しうるもの」です。「画面解像度」という概念を軸に展開された、3ページにわたる魅力的な書評で、乗代さんの文学や風景に向き合う真摯な姿勢が伝わってきて、感銘を受けました。山本健吉の『現代文學風土記』を読まれていたのがさすがで、「土地や風土以上に、時を隔てた人間同士を媒介するものもない」という一節が心に沁みました。

 冒頭から乗代さんらしい味わいのある文章で、特に「海外向けも含めた現代文学のガイドブックとしてもいいが、未来、その時になんという名で括られているかわからない過去の「現代文学」の簡便なガイドブックとして、今はいない読者に参照されることを考えた」という一文を、今後の励みにいたします。歴史ある文芸誌で『現代文学風土記』を取り上げて頂き、乗代さん、編集部のみなさま、誠にありがとうございます。

https://www.shinchosha.co.jp/shincho/backnumber/20220707/

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 明治大学の中央図書館からの依頼で、学内の書評コンテストに関連したレクチャー(書評の書き方講座)を担当することになりました。書評はクリエイティブで大事な文化ですので、少しでも多くの学生に関心を持って頂ければ嬉しいです。来月も文芸誌に原稿を書く(今書いている)こともあり、直近の掲載原稿を用いて「実践的な書評の書き方」を教える予定でいます。

「文學界」(2022年8月号)

  文藝春秋の文芸誌「文學界」(2022年8月号)の特集「入門書の愉しみ」に、「ハンナ・アーレント 理解への第一歩は人生を知ること」を寄稿しました。難解と言われることの多いアーレントの著作について、その複雑な人生に着目して論じた批評文です。

 カントが生涯を過ごしたケーニヒスベルクのユダヤ人の共同体で育ち、ハイデガー、ヤスパースの影響を受け、ナチ党の台頭でパリを経てニューヨークに渡り、The New Yorkerに『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』を記し、多くの友人を失った彼女の人生について、短文で書き切れないものごとに思いを馳せながら、書きました。

 千葉雅也さんの『現代思想入門』がベストセラーになったことを受けての特集で、興味深い論考が並んでいますので、ぜひご一読ください。

https://www.bunshun.co.jp/business/bungakukai/backnumber.html?itemid=692&dispmid=587

2022/07/06

「遅いインターネット会議」の冒頭映像

 宇野常寛さんの「遅いインターネット会議」でお話した冒頭30分ほどの内容が下のYouTubeのリンクで無料で観れます。宇野さんとはエンドレスにお話ができる感じで、面白い論点が多々ある充実した対談だったと思います。楽しい会場の雰囲気が伝わってくる映像かと思います。ご関心が向くようでしたらぜひ。

YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=g1soOU0YQbw

アーカイブ

https://community.camp-fire.jp/projects/65828/activities/395113#main


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 再帰的に見出される「風土」の現代的な価値について、宇野さんと議論が盛り上がりましたが、ジョン・アーリを引きながら触れた「日本の温泉」の観光的な価値の高さについて考えると伝わりやすいと思います。たとえば私は作家にゆかりある温泉宿やホテルをめぐるのが趣味ですが、対談で述べた「文学と温泉」の関係に「再帰的な価値」が織り込まれることも、集合的な記憶の継承という観点から、肯定する立場です。
 
 歴史ある旅館や作家の自宅の維持の大変さは、色々な方々から聞いていますが(修善寺の某旅館も経営が変わってリゾート化されたわけですが)、川端康成ゆかりの天城湯ヶ島・湯本館や、谷崎潤一郎ゆかりの有馬温泉・御所坊はいい宿ですし、海外でも作家にゆかりのある家やホテル、アパートは魅力的な観光資源になっています。

 これまで訪れた範囲だと、ハバナのヘミングウェイの自宅やホテル、トリエステのジョイス博物館、モスクワのドストエフスキーの家やロンドンの漱石記念館(2016年に閉館)など、観光的な価値と結びついた「文学的な風土」を感じさせる場所が好みで、旅先としてお勧めです。

2022/07/03

産経新聞で『現代文学風土記』をご紹介頂きました

 産経新聞朝刊(2022年7月3日)で『現代文学風土記』を取り上げて頂きました。簡潔に要点をまとめて頂き、誠にありがとうございます。「著者は読み巧者の文芸批評家。中上健次『枯木灘』といった歴史的作品から、昨年の直木賞候補作として話題になった一穂ミチ『スモールワールズ』などの直近作まで、47都道府県を舞台にした主に平成から令和の小説180編を選び、土地の固有性に着目して読みを展開する珍しいブックガイドだ。」という一節を励みにいたします。

産経新聞・書評

https://www.sankei.com/article/20220703-5A3742JTAJNVDMRH6IBQMUMFNQ/

産経デジタル:iza

https://www.iza.ne.jp/article/20220703-5A3742JTAJNVDMRH6IBQMUMFNQ/

2022/06/27

『現代文学風土記』カラー広告

  西日本新聞(2022年6月27日)のテレビ欄に『現代文学風土記』のカラー広告をご掲載頂きました。文芸批評本の広告としては珍しく、良い形で拙著をPRして頂き、誠にありがとうございます。金子恵さんの表紙と裏表紙のイラストが混ざったいい感じのデザインです。広告の通り、夏休みの読書感想文の教材としても、ぜひご活用を頂ければ幸いです。


 11冊を配架頂いた東京都の大田区立図書館をはじめ、様々な場所の図書館にご購入を頂き、ありがとうございます。先週末は北海道新聞でもご紹介頂きました。 

 little by littleで次の仕事の準備をしつつ、7月は5日に宇野常寛さん司会の「遅いインターネット会議」で『現代文学風土記』のコンセプトについてお話をし、7日発売の「文學界」にハンナ・アーレントについての短文が掲載される予定です。19日前後に恒例の西田藍さんとの直木賞予想対談(西日本新聞)が掲載されます(今回も良い候補作が並んでいます)。8月開始予定の新連載についても、ご期待頂ければ幸いです。

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 Bloggerの背景の動作が不安定なため、シンプルなデザインに変更しました。Googleはこのサービスをアップグレードする気はなさそうですが、自動翻訳を付けられるのが便利なので当面は現状維持という感じです。

2022/06/20

カルチャー誌「フリースタイル」(52号 2022年6月25日)で『現代文学風土記』をご紹介いただきました

 カルチャー誌「フリースタイル」(52号 2022年6月25日)で早稲田大学の小沼純一先生に『現代文学風土記』をご紹介いただきました。拙著にご関心を頂き、心より感謝申し上げます。西村ツチカさんの表紙も素晴らしく、「往時のカルチャー誌」という趣きの雑誌です。フリースタイルの書籍では江口寿史氏の美しい表紙の『小林信彦コレクション』を購入したことがありますが、同社は注目を集めている下北沢の出版社です。江口寿史、諸星大二郎、松本大洋各氏のポップアート作品も販売しています。

https://webfreestyle.com/

2022/06/16

中日新聞・東京新聞で『現代文学風土記』をご紹介いただきました

 中日新聞・東京新聞(2022年6月16日夕刊)の「大波小波」で『現代文学風土記』を取り上げて頂きました。「新しい文学散歩ガイド」という表題です。「この本にあるように一九七七年以降、約半世紀に限っても、これほど豊かな作品が、特定の土地の中から生まれていた」「純文学だけでなくエンタメにも目配りする著者の視野の広さに驚く。分厚い一冊だが、次の旅にはこれを携えていきたいものだ」という評に、非常に励まされました。歴史あるコラムで拙著を取り上げて頂き、心より御礼申し上げます。

2022/06/11

日本経済新聞で『現代文学風土記』をご紹介頂きました

 日本経済新聞(2022年6月11日朝刊)で『現代文学風土記』を取り上げて頂きました。「土地と小説の結びつき」という表題で、土地の記憶を語り継ぐ小説・批評の意義に着目した内容でした。川上弘美さん、桜庭一樹さん、青来有一さんの作品について論じた箇所に触れながら、本書の要点についてご紹介を頂いています。「土地に着目することで新たな批評が生まれる可能性を本書は示している」「文学は「読み」によって深みと広がりを増すのだ」という言葉に、非常に励まされました。発売から3週間ほどで全国紙で取り上げて頂き、心より感謝申し上げます! 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61610610Q2A610C2MY6000/


2022/06/07

日本各地の新聞や英字新聞を対象とした「全国まわし読み新聞」のワークショップを実施しました

 国際日本学部の「日本のジャーナリズムA」(日本語、英語)の課外授業(5月18日実施)で、日本新聞協会の職員の方々とニュースパーク(日本新聞博物館、横浜市)の協力のもと、全国紙、地方紙、英字新聞の記事を読み比べ、切り抜きながら各自が興味を持った記事を紹介し合う「まわしよみ新聞」のワークショップを実施しました。

 様々な地域で発行されている新聞の記事を読み比べて、切り抜きながら、グループでの自分の関心について発表をし合うことで、創発的に時事的な関心を高める教育内容です。全国各地の新聞を手に取って読むことで、情報を読み解く能力を向上させ、新型コロナ禍で希薄になった「顔の見えるディスカッション」を再構築する試みです。当日は、「沖縄復帰50年と1972」の企画展や常設展も含めて、ニュースパークの尾高泉館長より、明治大学の学生向けに丁寧な解説を頂きました。

 下のリンクに学生の感想を掲載頂いています。日本新聞協会の方からも「ドイツの学生が、沖縄の本土復帰と東西ドイツ統一を重ね合わせていたことに、目がくぎ付けになりました。」とのコメントを頂きました。確かに、東西ドイツの統一と沖縄返還を重ねる視点は面白く、知己の共同通信の記者にも話をしたら、非常に感心してました。

https://www.meiji.ac.jp/nippon/info/mkmht0000000z4he.html

2022/06/04

西日本新聞で『現代文学風土記』をご紹介頂きました

 新著『現代文学風土記』が西日本新聞で紹介されました。一面の「西日本新聞」の下の広告欄にもご掲載を頂きました。この本を出版した後、様々なお仕事を頂き、心より感謝申し上げます。新型コロナ禍の中で仕上げた本ですが、こういう時期に頂いた様々な方々からのお心遣いを忘れないようにしたいものです。

https://bungaku.ismyprecious.jp/detail?id=905738366141186048



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久しぶりに文庫の解説のお仕事を頂き、嬉しい限りです。相応の分量で一つの小説と向き合う経験は何ものにも代えがたいものだと、改めて感じています。