西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第49回 2019年3月10日)で、吉本ばななの出世作『TSUGUMI』について論じました。表題は「温泉町で描く新しい女性像」です。韓国(光州、群山などの全羅道)にしばらく滞在しつつ、原稿の締め切りに追われていたため、更新が遅れてしまいました。この連載も次回で50回を迎えます。
吉本ばななの父親は、戦後を代表する批評家の一人、吉本隆明です。この小説は、吉本一家が毎年夏に通った西伊豆の旅館を舞台にした作品です。「この小説の世界を生み出すことができたのは、毎年、西伊豆に連れていってくれた両親のおかげです」と、文庫版のあとがきに記されています。こういう青春小説は簡単に書けそうに見えて、作家の力量を問う難しさがあり、吉本ばななはその資質の高さをこの作品で示したと言えます。
この作品は長編2作目ながら、平成初の100万部超えの単行本となり、吉本ばななの人気を不動のものとしました。新しい時代の小説らしく、ローマ字のタイトルを冠し、新しい時代に似付かわしい、魅力的な女性像を示しています。第2回の山本周五郎賞の受賞作として、この賞の価値を高めた、吉本ばななの代表作です。久しぶりに読み返しましたが、瑞瑞しい文章が、読後の印象に強く残りました。
吉本ばななの父親は、戦後を代表する批評家の一人、吉本隆明です。この小説は、吉本一家が毎年夏に通った西伊豆の旅館を舞台にした作品です。「この小説の世界を生み出すことができたのは、毎年、西伊豆に連れていってくれた両親のおかげです」と、文庫版のあとがきに記されています。こういう青春小説は簡単に書けそうに見えて、作家の力量を問う難しさがあり、吉本ばななはその資質の高さをこの作品で示したと言えます。
この作品は長編2作目ながら、平成初の100万部超えの単行本となり、吉本ばななの人気を不動のものとしました。新しい時代の小説らしく、ローマ字のタイトルを冠し、新しい時代に似付かわしい、魅力的な女性像を示しています。第2回の山本周五郎賞の受賞作として、この賞の価値を高めた、吉本ばななの代表作です。久しぶりに読み返しましたが、瑞瑞しい文章が、読後の印象に強く残りました。