現時点で引き受けている仕事量的に、夏休みは終わった感じがしていますが(GO TO 何とかに関係なく、旅行どころではありませんが)、働き盛りと言われる40代を、快活に過ごしたいと思います。
近代文学は、青春時代に人々が経験する何の役にも立たないような円環的な時間=モラトリアムを描いてきました。『愛でもない青春でもない旅立たない』は、この系譜に沿った青春小説で、社会的な意味では志が低そうに見えますが、思春期の夢のような無為な時間を描いている点で、文学的な意味では志が高いです。成熟の三種の神器といえる「愛と青春と旅立ち」なしで現代人は大人になることができるのでしょうか?
前田司郎『愛でもない青春でもない旅立たない』あらすじ
五反田に住みながら郊外の大学に通う「僕」の愛と旅立ちなき青春を描いた作品。前田司郎の小説デビュー作。「僕」は大学を留年しているが、危機感は抱いておらず、友人の山本や元宮ユキと弛緩した日々をだらだらと送っている。女性との関係の築き方が下手な「僕」は、美人の恋人のまなみに愛想をつかされて、失われた青春の大切さに気付く。劇団・五反田団を主宰する前田司郎の小説デビュー作。