祝80回!西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第80回 2019年10月13日)は、村田喜代子の第55回谷崎潤一郎賞受賞作『飛族』を取り上げています。表題は「離島の高齢海女の明るい生活」です。
先週はベトナムFPT大学の方々と来年春のベトナム文化・産業体験研修の打ち合わせを行い、2020年の3月1日〜3月8日にハノイとダナンで研修を実施する方向で調整しました。
台風に関する情報を追いつつ、来月の文芸誌向けの原稿を書き終わり、再来月の文芸誌向けの原稿の準備をしながら、本連載の年末分の原稿を書き進めています。
村田喜代子の『飛族』は、奈良、平安時代の昔に西の果てと言われた長崎県の五島列島と思しき場所を舞台にした作品です。福江島の魚津ヶ崎には、遣唐使船の日本最後の寄港地があるので、この作品で描かれる養老島近辺の描写とも符合します。
この作品では、92歳のイオさんと87歳のソメ子さんが主人公で、二人が現役の海女として暮らす「養老島」の生活が描かれています。「人間は人に寄りついて暮らすもの」ではなく「土地に寄りついて生きてきたもん」だと考えるイオさんは、周囲からどんなに勧められても、養老島を離れることはありません。
二人が船幽霊に関する噂におびえたり、「てーんーにぃーー、でーうーすーがあらーしゃってーぇ」といった独特のお経を唱える信仰を有しているなど、かつての潜伏キリシタンの土地らしい、際どくも豊かな風土が、描写の端々に感じられる面白い作品です。土地に根ざした小説表現の豊かさを知る作家らしい、日本の西の果ての島々を舞台にした究極の「限界部落小説」で、谷崎潤一郎賞に相応しい村田喜代子の新たな代表作です。
先週はベトナムFPT大学の方々と来年春のベトナム文化・産業体験研修の打ち合わせを行い、2020年の3月1日〜3月8日にハノイとダナンで研修を実施する方向で調整しました。
台風に関する情報を追いつつ、来月の文芸誌向けの原稿を書き終わり、再来月の文芸誌向けの原稿の準備をしながら、本連載の年末分の原稿を書き進めています。
村田喜代子の『飛族』は、奈良、平安時代の昔に西の果てと言われた長崎県の五島列島と思しき場所を舞台にした作品です。福江島の魚津ヶ崎には、遣唐使船の日本最後の寄港地があるので、この作品で描かれる養老島近辺の描写とも符合します。
この作品では、92歳のイオさんと87歳のソメ子さんが主人公で、二人が現役の海女として暮らす「養老島」の生活が描かれています。「人間は人に寄りついて暮らすもの」ではなく「土地に寄りついて生きてきたもん」だと考えるイオさんは、周囲からどんなに勧められても、養老島を離れることはありません。
二人が船幽霊に関する噂におびえたり、「てーんーにぃーー、でーうーすーがあらーしゃってーぇ」といった独特のお経を唱える信仰を有しているなど、かつての潜伏キリシタンの土地らしい、際どくも豊かな風土が、描写の端々に感じられる面白い作品です。土地に根ざした小説表現の豊かさを知る作家らしい、日本の西の果ての島々を舞台にした究極の「限界部落小説」で、谷崎潤一郎賞に相応しい村田喜代子の新たな代表作です。