「現代ブンガク風土記」(第192回 2022年1月23日)では、米澤穂信の『満願』を取り上げました。担当デスクが付した表題は「『心の死』めぐるミステリ」です。第166回直木賞は、西田藍さんとの対談で挙げた2作が受賞でした。何れも出版不況を潜り抜けてきた作家らしい骨太の歴史小説で、読み応えがあり、嬉しく感じました。
太宰治の小編に「満願」という作品がありますが、関係は薄く、米澤穂信の『満願』はいわゆる「イヤミス(読後に嫌な気持ちになるミステリ)」です。予想外の方向に物語が転がり、落語の人情噺のように「感情に訴えかけるような落ち」のある展開が魅力的な作品です。八溝山地にある「死人宿」など「いわくつきの場所」の描写も上手いです。
収録されている6つの作品は、別々の土地を舞台にした、異なる物語ですが、何れも人間の「心の死」を中心的なテーマに据えている点で共通しています。人間は体が健康な状態でも、心が死の危機に瀕することがある、という現実感を生々しく伝えています。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/865901/
米澤穂信『満願』あらすじ
交番勤務の巡査ながら、二階級特進で名誉の死を遂げたとされる巡査の職務の実態を描いた「夜警」。女性を魅了する佐原成海の妻と二人の娘の複雑な関係を描いた「柘榴」など、6つの短編から成るミステリ小説。文藝春秋、早川書房、宝島社のミステリーランキングで一位となる三冠を達成。山本周五郎賞受賞作。
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単行本や雑誌原稿も含め、今月の締め切りの仕事がひと段落し、先々の仕事の準備で、全集本を70巻ほど発注しました。付箋を貼り、情報を整理する必要があるため、断捨離の時代に逆行しますが、ライフワークと覚悟し、購入。2年前の移籍時に千冊ぐらい本を捨て、業務用3列本棚を設置したので、収納はできますが、鈍器本約70冊はさすがに嵩張りそう。全集の値段が下落しているのも理解できます。古書店文化を守ることには、日頃、貢献しているつもりですが、新しく刊行される全集については、検索もできますし、電子版が相応しいと思います。
NFLのプレイオフは、満員のスタジアムで好ゲームが続いています。Kansas Cityが残り13秒からの際どい逆転劇で、スタジアムから湯気が出る熱狂でした。QBのマホームズ君は父親がベイスターズのピッチャーで、横浜市にも住んでいたので応援したくなりますね(Do it KELCEが流行語になってました)。バロウ君のCincinnatiとのChampionshipはかなり楽しみ。Green Bayが毎年恒例のロシア級悪天候で、なぜか温暖なサンフランシスコに敗れ、Tampa Bayは同い年のブレディがメンタル不調っぽく、ラスト4秒での敗戦。
NFL Mic'd Up Divisional Round "I Almost Popped a Blood Vessel"
https://www.youtube.com/watch?v=5AjkZ5RL4BA
今年のスーパーボウルは珍しくLA開催(新しいSoFi Studiam)で、ハーフタイムショーはエミネム、スヌープ・ドッグ、メアリー・J・ブライジ、ケンドリック・ラマー、ドクター・ドレで、なかなか豪華です(全くファミリー向けではない人選)。昨年のシャキーラ&ジェニファー・ロペスが中南米ノリで攻めたパフォーマンスだったので、今年も視聴者数で世界一の音楽ショーに相応しく、新しい時代を牽引する15分のステージを観たいです。
The Call | Pepsi Super Bowl LVI Halftime Show OFFICIAL TRAILER
https://www.youtube.com/watch?v=KJ2MbmrxVzg
早く平和にアメリカをドライブしながらショービズを楽しみたいものです。体調に気を配りながら、何とか春先までの仕事を乗り切って行きたいと思います。