図書新聞(2022年02月26日号)に、重里徹也・助川幸逸郎著『教養としての芥川賞(青弓社)の書評を書きました。見出しは「文芸ジャーナリズムに関わる人々の『文学的教養』」です。個人的には芥川賞よりも直木賞に関心を持っていますが、注目作のチョイスや異なる評価も含めて面白く読みました。歴史ある書評メディアとして、図書新聞や週刊読書人を応援しています。新宿で良書を出し続けている青弓社にも敬意を込めました。
図書新聞の前の号には、同じ大学の伊藤氏貴先生が「理系的」という面白い書評を書いていました。今号の私の原稿は下のような書き出しで、1800字ぐらいの原稿です。
図書新聞(第3531号 2022年02月26日号)
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3532
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芥川賞は駆け出しの作家を世に送り出す、文壇のスターシステムであり、選考過程や選評の公開を通して、一般読者や作家や批評家、編集者や記者など文芸ジャーナリズムに関わる人々の「文学的教養」を高めてきた。個人的には、近年は芥川賞よりも直木賞の受賞作に着目した方が、文学的教養は深まると考えているが、本書で指摘されているように、依然として芥川賞が「文壇を構成している既成の作家たちが、新しい書き手を迎え入れるという人事システム」として重要な役割を担っているのは確かであろう。本作『教養としての芥川賞』では、大江健三郎『飼育』(1958年・上半期)、森敦『月山』(1973年・下半期)、宮本輝『蛍川』(1977年・下半期)、多和田葉子『犬婿入り』(1992年・下半期)などに高い評価が付与されている。……