2018/05/25

ノーベル平和センター(オスロ)のICANの展示

オスロにあるノーベル平和センターで、昨年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の展示を見学してきました。

ノーベル賞はスウェーデンで授与式が行われますが、平和賞だけは、隣国との平和を記念して、オスロ市庁舎で授与式が行われます。ノーベル平和賞は論争的な賞で、ガンジーが受賞に至らなかったり、強硬的な外交で日米開戦のきっかけを作ったコーデル・ハルが1945年に受賞するなど、問題点は様々あります。個人的には、佐藤栄作の受賞やヘンリー・キッシンジャーやIAEAの受賞もどうかと思っています。

ただ国際的な平和維持活動に関する実績は豊富で、1917年の赤十字への授与以来、様々な団体に授与し、その知名度の向上に大きな貢献を果たしてきたことは間違いありません。ノーベル平和賞は、依然として現代社会に必要であり、各国のメディアが取り上げるべき意味のある賞だと思います。昨年のサーロー節子さんの授賞式での演説も記憶に新しく、感動的でした。

ノーベル平和センターの展示そのものは、厳選されたシンプルなもので、予想していたよりは広島・長崎に関する展示が少なく、残念に思いましたが、Bang the Bombという原水爆実験を間近で体感させる展示や、長崎の原爆投下直後の「焼き場に立つ少年」の写真など、注目すべき重要な展示もありました。

ICANがノーベル平和賞を受賞した意味については、日本で十分に認知されているとは思えないので、日本でも繰り返し、メディアで特集を組んだり、巡回展示や講演会を行ってほしいです。

広島と長崎の原爆災害については、ここ数年、実地調査を重ねており、6月下旬のIAMCR(International Association for Media and Communication Research オレゴン大学)では、広島と長崎の原爆災害を中心とした集合的記憶の伝承と展示のあり方について「Comparative Research on Archive and Exhibition Design and Production with Respect to Nuclear Disasters as Media for Communicating Historical Facts」という研究発表を予定しています。西日本新聞の「現代ブンガク風土記」でも、原爆災害を描いた現代文学について、近々、取り上げる予定です。