西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」の第19回(2018年8月5日)は、長嶋有の3作目の作品『ジャージの二人』について論じています。表題は「別荘地で生じる『故郷喪失』」です。同時収録されている「ジャージの三人」も面白く。堺雅人と鮎川誠の映画版もユーモラスで雰囲気のよい作品でした。
『ジャージの二人』は、一言でいうと、訳ありのいい歳をした親子が、現実逃避して山荘に引き籠もる作品です。友達のような関係にある父親と、小説を書いている無職の「僕」は、北軽井沢の古い山荘にだらだらと滞在し、昔のファミコンをしたり、漫画を読みながら夏を過ごします。
この小説の読み所は、携帯の電波の入らない北軽井沢の山荘での生活を、都会で生じた人間関係から距離を置き、気分転換をさせる爽やかなものではなく、都会で生じた悪意を培養し、増幅するものとして描いている点にあると思います。
一見すると、お笑いコンビのような親子を描いたユーモラスな作品のように見えますが、登場人物の夫婦関係に生じている不和は、北軽井沢の木々のように根深く、小説の全体が「大人の事情」で満たされた奥深い作品です。
『ジャージの二人』は、一言でいうと、訳ありのいい歳をした親子が、現実逃避して山荘に引き籠もる作品です。友達のような関係にある父親と、小説を書いている無職の「僕」は、北軽井沢の古い山荘にだらだらと滞在し、昔のファミコンをしたり、漫画を読みながら夏を過ごします。
この小説の読み所は、携帯の電波の入らない北軽井沢の山荘での生活を、都会で生じた人間関係から距離を置き、気分転換をさせる爽やかなものではなく、都会で生じた悪意を培養し、増幅するものとして描いている点にあると思います。
一見すると、お笑いコンビのような親子を描いたユーモラスな作品のように見えますが、登場人物の夫婦関係に生じている不和は、北軽井沢の木々のように根深く、小説の全体が「大人の事情」で満たされた奥深い作品です。