2023/02/07

「没後30年 松本清張はよみがえる」第34回「菊枕」

  西日本新聞の連載「松本清張はよみがえる」第34回(2023年2月7日)は、高浜虚子を師と仰ぎ、女性俳人として活動した杉田久女をモデルとした最初期の短編「菊枕」について論じています。担当デスクが付けた表題は「杉田久女をモデルに 行動的な女性像示す」です。毎回、9×9文字で担当デスクに上手いタイトルを付けて頂いています。『赤朽葉家の伝説』で故郷の山陰地方を舞台に、製鉄業を支える女性たちの姿を描いた桜庭一樹とのmatch-upです。

 杉田久女をモデルに、華麗、奔放と称される俳句の才能を持ちながら、師の虚子やその弟子たちと折り合いが付かず、小倉で不遇の人生を送った久女を想起させる「ぬい」の生涯を描いた作品です。前年に書かれた「或る「小倉日記」伝」の女性版という趣きの作品で、癇癪を起こしやすく、不器用な「ぬい」が、中央で評価されず、「ホトトギス」を連想させる雑誌「コスモス」の同人として除名されるに至る経緯をひも解きます。

 同系統の短編は他にも幾つかあり、論争的な性格で、不遇のまま34歳で亡くなった考古学者・木村卓治の人生を描いた「断碑」や、福岡県の田舎の中学教師・畑岡謙造が、史跡調査に来た帝大教授に才能を見出され、不倫によって身を持ち崩す「笛壺」などが評価が高いです。これらの作品は、叩き上げの登場人物たちが地道な努力をして、新しい成果を上げながら「感情の訛り」が災いして、失脚するという共通した物語構造を持ちます。

 本作では「ぬい」が自己の人生を卑下してヒステリーを起こしたり、梅堂に常軌を逸した内容の手紙を大量に書き、亡くなるに至る「悲劇的な姿」が強調されています。ただ「ぬい」が「無気力な貧乏教師の妻」という引け目を乗り越え、先駆的な女性俳人として中央の俳壇に切り込んでいく姿には、41歳でデビューした松本清張自身の姿が重なって見えます。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1050619/

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 45歳のTom Bradyがついに引退し、FOXの解説で10年$375 millionの契約(1年あたり約50億)。2年前に42歳で引退したDrew Breesと共に、四半世紀近くリーグを盛り上げてくれました。BradyとBreesはミシガン大学とパデュー大学時代のライバルで、ドラフト時に評価の低かった2人が、20年以上も活躍し、QBの歴代記録を塗り替えていく姿を観れたのが、同年代の人間として嬉しかったです。

Tom Brady & Drew Brees talk after their last time facing each other | "It was fun" - Drew Brees

https://www.youtube.com/watch?v=yc9Rqvb9gcA

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 膝蓋骨骨折のリハビリは、日々、痛みとの闘いですが、何とか手術後のひと月を乗り切ることができました。世の中には思いの外、足を悪くしている方々が多くいて、ちょっとした段差が危なかったりするので、バリアフリー(心のバリアフリーも含む)が大事なことに、実地で気付かされています。