2019/06/09

江藤淳没後20年 昭和と平成の批評 —江藤淳は甦える—

江藤淳の命日(7月21日)に下記のシンポジウムを行います。先日発売されました『江藤淳』(河出書房新社)と合わせまして、ご関心を頂ければ幸いです。

『江藤淳』(河出書房新社)に寄稿した批評文の詳細
https://makotsky.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html

シンポジウムの実施には、日本出版学会と専修大学文学部ジャーナリズム学科のご協力を頂きました。チラシの配布とポスター掲示には、神奈川近代文学館、日本近代文学館、日本新聞博物館、印刷博物館にご協力を頂いています。

「江藤淳没後20年 昭和と平成の批評 -江藤淳は甦える-」

日 時: 2019年7月21日(日) 午後2:00~4:30 (開場:午後1時30分)
報 告:平山周吉、與那覇潤、金志映、酒井信

発表題目
 ・江藤淳は甦えるか――「生き埋め」と矮小化の後に/平山周吉
 ・日本史家としてみた江藤淳/與那覇潤
 ・アメリカとの関係からみた江藤淳/金志映
 ・文芸批評家としてみた江藤淳/司会/酒井信
 ・パネル・ディスカッション



場 所: 専修大学神田キャンパス 5号館7階
        東京都千代田区神田神保町3-8
        https://www.senshu-u.ac.jp/access.html
定 員: 120名(満席になり次第締め切ります。)
会 費: 日本出版学会会員 無料・会員外一般参加費 500円 (ただし、学部生は学生証を提示の上、無料)

参加申込・問合先:
出版教育研究部会/部会長 清水一彦 ( kashimiz@edogawa-u.ac.jp)
※メールにて会員・非会員を明記の上、参加申し込みをお願いいたします。

主 催:日本出版学会・出版教育研究部会、専修大学文学部ジャーナリズム学科共催


【開催概要】
 江藤淳は20年前の平成11年(1999年)7月21日、66歳で亡くなった。本研究報告は、4人の登壇者による発表とディスカッションの形式を採り、昭和と平成の両時代に跨がって批評を展開した江藤淳の業績について再考する。なお登壇者のうち3人は平成期に義務教育を終えた若手研究者であり、河出書房新社から2019年5月に刊行された『江藤淳』に、それぞれの専門分野の知見を踏まえた論考を寄稿している。
 第126代天皇の皇后・雅子は、江藤淳(本名・江頭淳夫)の祖父・江頭安太郎(海軍中将)の曾孫にあたるが、江藤の血統が、近代皇室の血統と重なった令和の現代から見る、江藤の批評の価値とは何だろうか。江藤淳の没後20年の節目に、登壇者たちと共に考えて頂ければ幸いである。
 平山周吉は1952年東京生まれの雑文家。慶應義塾大学文学部国文科を卒業後、文藝春秋社で雑誌、書籍の編集に従事し、「文學界」「諸君!」で編集長を務める。江藤淳が自決した日に鎌倉で面会した最後の編集者。2019年4月に『江藤淳は甦える』(新潮社)を刊行し、ノンフィクションとも伝記文学とも週刊文春的とも言える文体で、江藤の人生に付随する数々の「謎」を丹念に解き明かしている。
 與那覇潤は1979年横浜生まれの歴史学者。東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了。2011年の『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』(文藝春秋)で注目を集めたが、「西洋化」の概念抜きで専門の日本近代史を描きなおす試みは、欧米化ではない近代化の道を模索した江藤淳の史論とも重なる。大学離職の経緯を綴った『知性は死なない 平成の鬱をこえて』(同)でも随所で江藤をとりあげ、その感性が戦後の日本で持った意味に触れている。
 金志映は1982年ソウル生まれの比較文学者。延世大学校を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了。ロックフェラー財団に招聘された戦後の日本の文学者の米国体験に着目し、2019年に『日本文学の〈戦後〉と変奏される〈アメリカ〉』を刊行。現在は、成均館大学校の成均日本研究所で研究員を務める。
 酒井信は1977年長崎生まれの文芸批評家。早稲田大学を卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で、江藤淳の弟子にあたる福田和也の指導を受ける。現在は文芸誌や論壇誌に批評文を執筆しながら、文教大学情報学部で准教授を務める。近著に『吉田修一論 現代小説の風土と訛り』『メディア・リテラシーを高めるための文章演習』(左右社)。西日本新聞で「現代ブンガク風土記」を連載中。