西日本新聞の連載「松本清張はよみがえる」第45回(2023年5月1日)は、浦島伝説や羽衣伝説を下地にした松本清張らしい「古代史の教養」が生きた小説で、『点と線』に連なる「旅行ミステリ」の集大成と言える『Dの複合』について論じています。担当デスクが付けた表題は「民族説話と現代結ぶ 雄大な旅行ミステリ」です。毎回、9×9文字で担当デスクに上手いタイトルを付けて頂いています。奈良県の天川村や、新疆ウイグル自治区などを舞台にして、キトラ古墳に描かれた天文図の謎に迫った池澤夏樹の『キトラ・ボックス』とのmatch-upです。
『Dの複合』という印象的なタイトルは、日本列島を横断する北緯35度線と、東経135度線の英語表記に「D」が多く使われていることから採ったもので、この作品は北緯35度線と東経135度線の上で起きるきな臭い事件の数々を描いています。個人的に好きな作品の一つです。
小説家・伊瀬の描写は、デビューして間もない頃の松本清張の姿に酷似しています。「ここのところ原稿の依頼が途絶えて、げんに女房が浜中にいろいろサービスしているのでもわかるとおり、家計が苦しくなっている」など、「売れっ子」になる前の描写が面白いです。全国各地の伝承を取材し、連載小説を記していく作家の姿を描いた「メタ・フィクション」で、「浦島伝説」「羽衣伝説」「補陀洛(ふだらく)伝説」の三つを下地にして、「戦前の謎めいた事件」が「戦後」に与えた「余波」に迫ります。
5月28日(日)に福岡市の天神スカイホールで「没後30年 松本清張はよみがえる」に関連したイベントを開催します。私と担当記者とイラストの吉田ヂロウさん他。13時スタートで、参加料千円。希望者は〒810-8721(住所不要)西日本新聞くらし文化部へ、はがきか、後日、西日本新聞に掲載のQRコードから住所、氏名、参加人数、電話番号、好きな松本清張作品とその理由を書いて申し込んでくださいとのことです。5月15日締め切り(消印有効)で定員150人とのことです。日々、松本清張とその作品のことばかりを考えて連載を記してきましたので、総まとめという感じの話になると思います。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1084665/
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NFLのドラフトは順当にアラバマ大学のBryce Young君が1巡1位の指名でした。5-10でプロとしては小柄ですが、空間認識力が高く、個人的に好きなDrew BreesやKart WarnerタイプのQBです。1巡だと日本円で年間10億円を超える契約×5年ぐらいを得られるわけですが、アメリカはcollege footballが人気なので、大学3年生の時点で年に4億円超もらっていたという。派手な「正装」や「個性的な親族」も映るので、各選手の様々な背景が垣間見えるのが面白いところです。大学生が脚光を浴びる「世界最大のメディア・イベント」と言えます。
https://www.youtube.com/watch?v=h9MLpDppGhU