今週末の日本マス・コミュニケーション学会秋季研究発表会では、英語のワークショップを担当します。10月21日土曜日に駒澤大学での開催です。
Media and Communication Studiesに関する国際学会での発表経験と、英文ジャーナルの編集長の経験、「スーパーグローバル大学創成支援」以後の日本のメディア教育・研究のあり方について、私の持ち時間として30分ほどお話しします。
Evaluating the Internationalization of Media and Communication Studies in Japan
Moderator: Takesato WATANABE, Doshisha University
Presenter: Gabriele HADL, Kwansei Gakuin University
Presenter: Makoto SAKAI, Bunkyo University
Discussant:Seongbin HWANG, Rikkyo University
(Planned by International Committee)
メディア・コミュニケーション研究の国際化
‐日本からの発信とその課題‐
司会者:渡辺武達(同志社大学)
問題提起者:ガブレリエレ・ハード(関西学院大学)
問題提起者:酒井信(文教大学)
討論者:黄盛彬(立教大学)
(企画:国際委員会)
(使用言語:英語)
【キーワード】メディア・コミュニケーション学、英文ジャーナル、International Association for Media and Communication Research、International Communication Association
創設以来、日本マス・コミュニケーション学会(JSSJMC)では発表言語は原則として日本語であった。しかし日本からの国際的発信力の強化、外国人研究者・留学生等への便宜供与、などの要請が強くなってきている。今回、そうした諸般の事情、要請に学会員だけではなく、諸外国の関連学会からの要請にも具体的に応えていくための試みとして本ワークショップを企画した。
ガブリエレ・ハード会員からは、日本の学会と海外の学会との積極的な交流の必要性についてあらためて提起がなされ、自らの経験と知見から具体的な活動報告と提案が行われる。例えば、東京大学とリーズ大学の共催によるシンポジウムや10カ国以上の共同執筆者が貢献した学術誌の特集、通訳付きの学会、英語を母国語としない学者(non-native English speakers)による英語を使用した環境コミュニケーション分野における交流について紹介される。これらの経験をふまえて、日本をベースにした研究の世界的な役割の重要性が提唱される。
また、酒井信会員からは、Media Studiesに関連する国際学会の現状について、自己の活動内容を踏まえた報告を行い、所見が述べられる。加えて、英文雑誌Asian Journal of Journalism and Media Studiesの第2号編集長として、Call For PapersやInstructions等の整備や編集プロセスについて報告を行う。さらに、スーパーグローバル大学創生支援事業以後の日本のメディア教育・研究のあり方についても所見を述べ、参加者と共に議論を行う。
ふたつの問題提起を受けて黃盛彬会員は、日本の研究者がグローバルな場面で活躍するための戦略的かつプラクティカルな要件について整理を試みる。
以上、異なる背景を持つ3人の登壇者がそろうことで、欧米水準の研究・教育のキャッチアップにとどまらない様々な課題のあぶり出しができると考えている。通常のワークショップよりも登壇者は多いが、その分、進行にあたっては参加者の自由な議論と情報交換の促進に努めたい。
なお、本ワークショップでは英語による討論を試みる。日本の他のジャーナリズム・メディア・情報・コミュニケーション等の関連学会では英語のみで運用される発表の場が用意されてきている。それに対して前述のように、これまで本学会はほとんど日本語のみの活動に終始してきた。現状のままでは海外からの研究者や留学生の発表を増やすことはおろか、国際的活動が問われるなか若手会員数の減少等を招きかねない危惧がある。そうした状況認識の上に、本学会が現在の日本が求められている国際化ニーズにも応え、まずはこうした英語による諸活動を増やしていくことが肝要と考える。
日本マス・コミュニケーション学会 2018年度秋季研究発表会プログラム
http://www.jmscom.org/event/annual_meeting/18fall/18fall_program.pdf