2021/03/23

祝・150回 西日本新聞「現代ブンガク風土記」 森絵都『漁師の愛人』

西日本新聞の毎週日曜の連載「現代ブンガク風土記」が150回の節目を迎えました。手前味噌ですが、ブロック紙以上の文芸批評の新聞連載(時評を除く)としては、分量と期間の上で最長の部類に入ると思います。タイトルは長崎市立磨屋小学校の先輩であり、慶應義塾大学で折口信夫に師事した山本健吉の『現代文学風土記』を参照したものです。私の実家の近くに住んでいた石橋忍月・山本健吉父子の批評や、山本が吉田健吉や中村光夫らと戦前にはじめた「批評」(第二期)を、現代的な形で継承したいという思いもあります。連載中に山本が教鞭を執った明治大学に公募で移籍するという縁にも恵まれました。

連載で取り上げている作品以外にも多くの現代小説を読んでいますので、文字通り小説漬けの日々です。先々、この連載は日本語の著作として刊行する予定ですが、当初から英訳を意識した内容でもあり、海外の友人たちの力を借り、何かしらの形で現代日本の小説の多様性と水準の高さを、英語版の著作としても伝えたいという思いを持っています。この連載を長崎の原爆被害を題材としたカズオ・イシグロの『遠い山並の光』からはじめ、江藤淳の毎日新聞の文芸時評と異なる書き方をしているのはこのためです。志半ばですが、4月から4年目を迎える「現代ブンガク風土記」を、引き続きよろしくお願いいたします。

「現代ブンガク風土記」(第150回 2021年3月21日)は、森絵都の「震災以後」の日常を描いた短編集『漁師の愛人』を取り上げています。表題は「人々に生じた震災の余波」です。東日本大震災後の2011年から2013年にかけて書かれた作品で、子供から老人まで様々な人物の視点や感情を通して、東日本大震災が日常に与えた「余波」や「余震」を、独自の視点から炙り出しています。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/710463/


森絵都『漁師の愛人』あらすじ
震災後に雪の降る北の港で漁師になることを決意した長尾と、紗江の新しい生活を描いた表題作のほか、女性三人が新しい家族の形を求めて共同生活をはじめる「あの日以降」など4編の作品を収録。大震災を経て「生きること」と「生き延びること」は別物だと実感する描写が、読後の印象に強く残る。



2021/03/15

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第149回 沼田真佑『影裏』

 西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第149回 2021年3月14日)は、沼田真佑のデビュー作&芥川賞受賞作『影裏』を取り上げています。表題は「豊かな自然と埋もれた感情」です。塾講師の仕事に就きながら「小説らしい小説」を書き続けている作家で、本作は東日本大震災を描いた現代小説の代表作だと考えています。

 ちょうどこの小説が掲載された号の文學界に「吉田修一論──現代文学の風土 後篇」を寄稿していたので、初出時に読み、完成度の高い優れた小説だと思いました。その後、芥川賞の候補となり、本連載でも扱った今村夏子の秀作『星の子』との決選投票で差を付け、震災から6年目にして「震災小説」としてはじめて芥川賞を受賞しました。

「岩手というところは、じつに樹木が豊富な土地だと、夏が来て改めて思う」という一節が読後に強い印象を残す作品です。作者の沼田真佑は北海道の小樽市生まれですが、インタビューによると親の転勤で千葉、埼玉を経て、福岡に落ち着き、福岡大学附属大濠高校を経て西南学院大学に進学しています。影響を受けた作家として福岡市生まれの梅崎春生を挙げていて、文章の所々に梅崎の影響が感じられます。

 生き残った人間の記憶を媒介として、失われた人間の謎を浮き彫りにしていく方法は、歌舞伎や落語など古典芸能も好む著者らしい、メリハリの効いた物語構築の技法だと思います。この作品は岩手の豊かな自然と癖の強い不器用な人々の感情を、鮮やかなものとして描くことで、その背後に埋もれた「失われた物事」を巧みに掬い上げた「震災文学」です。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/707010/

沼田真佑『影裏』あらすじ

 医療系の薬を取り扱う親会社からの出向で岩手県盛岡市に移住したわたしは、同年代の独身男性である日浅と親しくなる。川釣りを共にし、日本酒を酌み交わした幸福な日々はやがて日浅の退職で過ぎ去り、大震災の日を迎えることとなる。文學界新人賞を受賞し、芥川賞を受賞したデビュー作「影裏」を含む三篇の小説を収録。



2021/03/10

『福田和也コレクション1: 本を読む、乱世を生きる』

 後輩の鈴木涼美の『福田和也コレクション1: 本を読む、乱世を生きる』の書評が面白かった。情感と論理が両立していて、とても良い文章。全盛期は100人を超えるゼミ生を集め、慶應SFCの文化論的なピークを築いた福田和也研究室の思い出を、往時の福田の批評を交えながら、ユーモラスに展開している。

 一青窈さんと並んでゼミの出身者に名前を出して頂いていて光栄ですが(私と大澤信亮は早稲田から院に入ったわけですが)、これは書評を書けという版元からのメッセージなのかも。何れにしても一青窈から鈴木涼美まで多彩な人材を輩出した福田和也研究会の往時の熱気を、今年3冊出る『福田和也コレクション』で思い出しつつ、日々の励みにしたい。


作家・鈴木涼美が語る「師・福田和也のまなざしと本音」

初選集『福田和也コレクション1:本を読む、乱世を生きる』刊行に寄せて

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/863595/1/



2021/03/08

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第148回 高橋源一郎『恋する原発』

  西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第148回 2021年3月7日)は、高橋源一郎の『恋する原発』を取り上げています。表題は「『揺れ』感じ続ける日本の姿」です。震災・原発事故から十年の節目ということもあり、しばらく本連載では「震災・原発事故文学」を取り上げる予定です。

『恋する原発』は2011年の原発事故から約7か月後に文芸誌「群像」に発表され、性的な表現を通して原発事故を風刺する「問題作」として話題となりました。確かに、著者の高橋自身も冒頭に記している通り「不謹慎すぎます。関係者の処罰を望みます」と言われてしまうような内容なのかも知れません。

 ただ本作には震災・原発事故後の人間の性=生のあり方について批評的な内容も多く盛り込まれています。例えば米同時多発テロ直後に「時に、テロを必要とする者もいるのではないか」と問いかけたスーザン・ソンタグの一節が引かれ、福島第一原発前での「不謹慎なデモ」が描かれる内容には、作家らしい反骨心が感じられます。

 個人的には『さようなら、ギャングたち』や『ジョン・レノン対火星人』など高橋源一郎の初期作品のような「小説で社会の急所を突いてやろう」というギラギラした野心が感じられ、好きな作品です。震災や原発事故の経験を悲劇として美化することに抗い、不謹慎な喜劇として震災と原発事故を描くことを試みた、原発事故10年後に読み返されるべき「反小説」だと思います。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/703343/


高橋源一郎『恋する原発』あらすじ

震災と原発事故の直後の「自粛」を強いる「空気」の中で、原発事故と性的な表現を絡めて描いた作品。震災の揺れを感じた時、おれは「いままでたまったツケを払わなきゃならんのだ」と思い「チャリティーAV」に挑む。AV制作会社で働くおれの日常と周囲の人々の猥談やを通して、小説家らしく、現代日本の「表現の自由」、「言論の自由」の臨界へ切り込む。

2021/03/02

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第147回 中村文則『逃亡者』

 西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第147回 2021年2月28日)は、中村文則の新聞連載小説『逃亡者』を取り上げています。表題は「血生臭い『記憶』継承の意味」です。掲載頂いた写真は、2021年1月の「核兵器禁止条約の発効(日本は不参加)」に際して祈りを捧げる長崎の浦上天主堂の様子です。

 中村文則は、理不尽な暴行や虐待などを経験した人物のその後の人生を、彼らを内側から蝕む「理不尽な記憶」を通して巧みに描く作家だと思います。本作では「論理に論理をぶつけても、人間は変わらない場合がある」というドストエフスキーの言葉が重要なモチーフとなっています。

 主人公は左派のジャーナリストで、長崎市でキリスト教徒が多く居住してきた浦上地区にルーツを持つ中年男性です。彼は旧日本軍の軍楽隊で伝説となったトランペットに関する記事を書いたことで運命の歯車を狂わせ、日本の政治中枢に影響力を持つ「Q派の会」と呼ばれる宗教団体や、理不尽な暴力を行使するスイス人の殺し屋Bなどに追われることになります。

 長崎とドイツを主な舞台とした本作について、中村文則は次のように述べています。「僕は出身は愛知県ですが、ルーツが長崎で、初めて長崎についても書くことになりました。いつか書く、とずっと決めていたテーマでもあります」と。確かに本作は自己のアイデンティティに関わる問題と対峙する熱量が伝わってくる中村文則の代表作だと思います。

(同じ1977年生まれの中村文則さんの作品について書くのは、2005年に担当した「文學界」の連載「新人小説月評」以来でした。半年間の月評の担当期の芥川賞が、中村さんの「土の中の子供」でした。ノワール小説を手掛けつつ、ジャンルを拡げつつも、実存的な内面描写は変わらず、国際的に高い評価を獲得されていて、素晴らしいと思います)

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/699711/


中村文則『逃亡者』あらすじ

第二次世界大戦中に、日本の軍楽隊で伝説となり、局地的な作戦を奇跡の成功へと導いたトランペットをめぐる物語。キリスト教徒の迫害から、太平洋の玉砕戦を経て現代に至る歴史に、現代を生きる主人公の視点を通して迫る。伝説のトランペットを媒介として、新たな記憶が物語に次々と断層を走らせていく中村文則らしい、現代的な歴史小説。

2021/02/26

2020年度「問題複合体を対象とするデジタルアース共同利用・共同研究拠点」成果報告会

  2020年度の問題複合体を対象とするデジタルアース共同利用・共同研究拠点成果報告会で「東日本大震災及び福島第一原発に関する「風評被害」の報道内容と地理空間上の分布に関する通時的な研究」の発表を行いました。

 この研究はサイバースペース上に構築される多次元・多解像度の地球(デジタルアース)の研究開発で、主として社会科学に関わる問題を表象する情報・データの収集・蓄積・分析を行うことを目的とした内容です。

 今年度の具体的な作業としては、2011年3月11日から2020年12月31日の東日本大震災及び福島第一原発事故の「風評被害」に関する読売新聞と朝日新聞の報道推移について、報道量・報道内容の分析を行いました。次年度のゼミ学生5名にも、在宅のアルバイトで新聞記事のデータベースを使用したメタデータ作成作業に従事してもらいました。

 風評被害に関する研究は、報道内容の分析に関わるMedia Studiesにおいて一般的なもので、社会的な二次災害は流言・デマを主たる要因として生じる傾向にあります。慶應義塾大学の助教時代から継続的に取り組んでいる自然災害・人的災害に関するニュースの定量的な研究です。

 共同利用・共同研究拠点 (Joint Usage / Research Center)は、文部科学省のサイトの定義では「個々の大学の枠を越えて大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の研究者が共同で利用したり、共同研究を行う」もので、明治大学では同じ中野キャンパスの先端数理科学インスティテュートが認定されています。





2021/02/23

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第146回 森絵都『風に舞いあがるビニールシート』

 西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第146回 2021年2月21日)は、森絵都の直木賞受賞作『風に舞いあがるビニールシート』を取り上げています。表題は「人生の転機捉えた短編集」です。

 本作には、不器用に自己の人生と格闘する登場人物たちを描いた6つの短編が収録されています。「守護神」は、社会人学生が多く通う夜間の「第二文学部」を舞台に「レポートの代筆」を題材とした物語です。森絵都は日本児童教育専門学校を卒業後、アニメーションのシナリオ制作に関わり、早稲田大学第二文学部に社会人入学した経歴があり、この作品には著者の経験が反映されているのだと思います。

 表題作「風に舞いあがるビニールシート」は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の東京事務所で働くテキサス出身の男性・エドと、外資の投資銀行から転職してきた日本人女性・里佳の恋愛を描いた作品です。エドは、スーダンやリベリア、ジブチなど内戦や紛争が起きる「フィールド」で難民保護の任務に従事した経歴を持ち、「人の命も、尊厳も、ささやかな幸福も、ビニールシートみたいに簡単に舞いあがり、もみくしゃになって飛ばされていくところ」を、数多く目撃してきました。暴力的な風が吹いた時、真っ先に飛ばされる弱い立場の人々を、地上へと引きとどめようと試みる優しい人間が抱える寂しさと強さを描いた作品です。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/696050/


森絵都『風に舞いあがるビニールシート』あらすじ

才能に恵まれた洋菓子職人・ヒロミに振り回される主人公・弥生を描いた「器を探して」。捨て犬の世話をするボランティアのためにスナックで働く主婦・恵利子を描いた「犬の散歩」。仏像修復を行う工房で働く人々の出会いと別れを描いた「鐘の音」など、不器用ながら懸命に働く大人たちを描いた短編集。第135回直木賞受賞作。

2021/02/17

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第145回 伊与原新『八月の銀の雪』

 西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第145回 2021年2月14日)は、伊与原新の直木賞候補作『八月の銀の雪』を取り上げています。表題は「地球科学の知見踏まえた物語」です。

 著者の伊与原新は東京大学理学系研究科で地球惑星科学を専攻した経歴を持ち、博士(理学)を取得しています。海外では元科学者のSF作家は珍しくないですが、東大で博士号を取得し、一度は国立大学の理学部に務めながら、作家に転じた例は珍しいと思います。異色の経歴は小説に生かされていて、地震や気象、生命や環境問題など地球惑星科学の知見を踏まえたストーリーには、確かなリアリティが感じられます。

 全体に地学や気象学、生命科学の専門的な知識が生きています。例えば国立科学博物館の「世界の鯨類」の展示の生物画を手掛けた年配の女性職員と若い母親の交流を描いた「海へ還る日」。2千メートルの深海に潜りながら「外向きの知性」ではなく「内向きの知性」を発達させてきた類としてのクジラの存在を通して、人間存在のあり方を問いかける内容が面白い作品です。「八月の銀の雪」は、理学の博士号を持つ地球惑星科学を専攻した著者らしい「地球規模の科学的な発見」に満ちた、現代日本を代表する「理系文学」だと思います。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/692643/


伊与原新『八月の銀の雪』あらすじ

科学的知見に裏付けられた、心に傷を持つ人々を巡る5つの短編を収録。原発の下請け会社を辞めた辰朗と、風船爆弾の研究で亡くなった父を持つ男性の茨城の海岸での出会いを描いた「十万年の西風」など、壮大なスケールの下で現代日本に暮らす人々の心情が綴られる。


2021/02/10

西日本新聞「現代ブンガク風土記」第144回 宇佐見りん『かか』

 西日本新聞の連載「現代ブンガク風土記」(第144回 2021年2月7日)は、宇佐見りんのデビュー作『かか』を取り上げています。表題は「架空の方言で描く母性神話」です。

「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞した宇佐見りんは、訛りを帯びた表現で女性の生理を描いたデビュー作「かか」で高い評価を受けて、三島由紀夫賞を史上最年少で受賞しています。宇佐美は静岡県の沼津生れで、神奈川育ちですが「かか」で使われる方言は、関西弁や九州弁に似た雰囲気を持ちながらも、実在しないものです。

 本作の魅力は、家族が空中分解に近い状態にありながらも、うーちゃんが「かか」に愛憎の混じった親しい感情を抱き、「常に肌を共有している」ような感覚を抱いている点にあります。かかを狂わせたのは、最初の子供である自分を産んだことに起因している、という事実を引き受けることで、うーちゃんは成長の一歩を踏み出していきます。

 かか=母性への「信仰」を取り戻すべく、うーちゃんが家出して熊野詣へと旅立ち、那智に祀られるいざなみに会いに行くという構成も巧みです。いざなみはいざなぎとの間に多数の子を設けて、日本の国土をかたどり、かぐつちの出産で亡くなった女神ですが、うーちゃんがいざなみに自己を重ねていく展開は、その旅路に「神話」のような深みを与えることに成功しています。かか=母性への愛憎入り混じった感情を、ユーモラスな方言と現代的な「信仰」と共に綴った「現代小説らしい母性神話」です。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/689394/


宇佐見りん『かか』あらすじ

幼稚園のころの夢は「かか」になることだったという「うーちゃん」の視点から綴った家族の物語。小学校に入ってすぐの頃、「とと」の浮気と家庭内暴力で、「かか」と「とと」は別居するようになり、うーちゃんは「誰かのお嫁さんにもかかにもなりたない」と考えるようになる。文藝賞のデビュー作でありながら三島由紀夫賞を受賞した、母性を巡る現代小説。


図書新聞(2021年2月13日号)書評

 図書新聞(2021年2月13日号)に吉田修一『湖の女たち』の書評を寄稿しました。表題は「純文学とミステリー小説の双方の特徴を有した傑作 -週刊誌連載の小説らしい批評性も有するー」です。

 本作は、19人を刺殺して戦後最悪の大量殺人事件となった相模原障碍者施設殺傷事件など、現代的な事件を想起させる題材を取り入れている点で従来の吉田修一の作品と同様の特徴を有しています。その一方で731部隊の人体実験など戦前の際どい史実を主要な題材としている点で、従来の吉田修一作品とは異なる「社会派ミステリー小説」とも言えます。

「事件や犯罪というものが、まるで金や権力で売り買いできる商品のような気がした」という週刊誌記者・池田の呟きは、週刊誌連載の小説らしい批評性を有したものです。

 この小説の表題に記された「湖」とは、市島民男の殺人事件の現場に近い「琵琶湖」と、戦前にハルビン市内への水の供給のために、松江江の支流を堰き止めて作った人口湖・平房湖の二つを指します。戦前から戦後へと連続する「人間を物として扱う人間の悪の所在」を、二つの湖の底に眠る集合的記憶を通して問いかけた『湖の女たち』は、吉田修一らしい純文学とミステリー小説の双方の特徴を有した傑作だと思います。