産経新聞(2022年11月29日)の「いまを紡ぐ 藤井聡太のことば ⑦ピンチ コロナ禍で対局できずとも『自分の将棋と向き合うことができた』」にコメントが掲載されました。将棋は詳しくはないのですが、編集長の小川記代子さんにお声がけを頂き、慶應の助教時代以来の15年ぶりのお仕事でした。藤井聡太さんが、AMDのRyzenシリーズでもトップクラスの処理速度を持つCPUを買ってPCを自作し、将棋AI水匠を使った将棋研究を行っている点に着目したコメントを掲載頂きました。
以下、私のコメントの抜粋です。作家の今村翔吾さんがメインの記事で、立教大学の学生・宇田川さんのコメントも掲載されています。掲載紙と一緒に、来年の藤井聡太カレンダーをお送り頂いたので、息子の寝床に掲げようと思います。昔の名人みたいに命懸けで将棋を指されても困るのですが、PCは自作してほしいものです。
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明治大専任准教授(メディア文化論)の酒井信(45)が「厳しい」と感じたのは、いわゆる「ポスドク」、大学院博士後期課程終了後の任期付き助教や研究員のときだ。任期中に一定の成果を上げ、終身雇用の立場になれるのか、不安は尽きない。
酒井はプログラミングを学んだこともあり、英字ニュースの分析にビッグデータの解析を取り入れた。分野横断的な研究は注目を集め、3大学から一般公募で内定を得た。
「ストレスの多い中で成果を出せるか、ネガティブにならず前向きに新しいことにチャレンジできるかにかかっている」
<中略>
ITに詳しい酒井は、藤井がパソコン(PC)を自作している点に注目している。PCの心臓部であるCPU(中央演算処理装置)にAMDの「Ryzen(ライゼン)」を使っている点が興味深い、と述べる。
「ライゼンの中でも処理速度がトップクラスの高額のCPUを使ってPCを自作し、将棋の研究をしている。AIを活用するにとどまらず、活用するための環境も自分でつくっている点が、素晴らしい」
コロナ禍でも危機的状況でも、方法論自体を作れる、すなわちゼロからイチを作り出すことができる人は、外的変化に左右されずに自分の信じる道を突き進める、という。
「経験したことのない事態の中で新たな価値観や新しい秩序を作るのは、こういうフロンティア精神を持った人だ。日本の大学は、こういう人間をもっと育てる必要がある」。酒井は、教育システムの改革に期待する。